KISS YOU 〜世界は宇宙と恋におちる〜

KISS YOU 〜世界は宇宙と恋におちる〜

TM NETWORK|TM_NETWORKが1987年10月1日にリリースしたシングル「KISS YOU」は、彼らの11枚目のシングルであり、多くの音楽ファンに強烈な印象を残しました。本楽曲は、宇宙と恋愛という夢のようなテーマを持ちながら、デュラン・デュランを意識したスタイルで作曲されています。

音楽性と制作の背景

「KISS YOU」は、カップリング曲として1987年に行われた武道館ライブの「Self Control」が収録されていますが、本作の魅力はその独特な曲調にあります。楽曲全体がラップ調になっていて、特にAメロの部分が際立っています。最初は渡辺美里への提供を考えていたものの、最終的にはTM NETWORK|TM_NETWORKの新譜としてリリースされることになりました。この経緯は、ディレクターの小坂洋二の決断によるものでした。

ボーカルの宇都宮隆は、特にラップ部分に関して、「難しいと感じながらも思いの他上手く歌えた」と振り返っています。実際に、メロディの中には日本語より英語の詞が多く使われており、これが斬新な曲の印象を与えています。また、この曲と過去の楽曲との大きな違いとして、リズムとビートが特に強調されている点が挙げられます。シングルとアルバムでのアレンジの違いも面白く、アルバム版はアメリカの機材を使っているため、打ち込みのサウンドが異なります。

録音と制作の過程

「KISS YOU」は、当初は『humansystem』の先行シングルとして「RESISTANCE」を考案しましたが、小坂の提案によって急遽変更されることになりました。この変更は、トラックダウン直前というギリギリのタイミングで行われ、スタジオでの緊張した雰囲気を伺わせます。小室は、極端にポップな感覚を持つ小坂の意見が後に生きると感じ、「KISS YOU」へと導かれました。

歌のレコーディングには、多くの時間と労力が費やされ、特にコーラス部分には通常以上の時間がかけられました。小室は他のメンバーに対し、「非常に太った黒人のような歪んだ声を出してほしい」と独特のオーダーを出し、その結果、宇都宮は「ただがなっているだけ」と表現するなど個性的な音源が出来上がりました。

再発盤とCD化

1989年9月21日には、このシングルが未CD化状態で再リリースされましたが、小室はすでにCD化されているという誤解をしてしまいました。そのため、この8cmCDシングルの発売は若干遅れて1989年11月となりました。このジャケットには舞台裏のセリフや削除された内容についても記載されており、ファンの間でも話題となった一品です。

結論

「KISS YOU」のリリースは、TM NETWORK|TM_NETWORKにとって新たな挑戦と進化を象徴しています。特色ある音楽スタイルや新しい制作技法は、今なお多くのミュージシャンに影響を与えています。この楽曲は、聴く人々に宇宙と恋が織りなす幻想的な世界を感じさせる一曲となっており、音楽史にも名を刻んでいます。

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