KISSプロジェクト

KISSプロジェクトの概要

KISSプロジェクトは、東京大学の木曽観測所を中心に、国際的な研究者グループが協力して進めている大規模な超新星探査計画です。このプロジェクトの主目的は、超新星爆発が発生する瞬間の詳細を捉えること、特に爆発直後の数時間に観測されるショックブレイクアウト現象の発見を目指しています。

ショックブレイクアウトとは

超新星爆発では、星の中心での重力崩壊によって生成された衝撃波が星の表面を通過し、光度が急激に増加すると予測されています。今年発表された研究によれば、この現象は「ショックブレイクアウト」と呼ばれ、これまでに可視光での観測例はありません。KISSプロジェクトの目指すのは、世界で初めてこのショックブレイクアウトを可視光で捉えることです。この研究によって、重力崩壊型超新星の爆発メカニズムに関する理論的な理解が深まることが期待されています。

Kiso Wide Field Camera (KWFC)

KISSプロジェクトの重要な要素として、木曽観測所が開発した超広視野CCDカメラ、Kiso Wide Field Camera (KWFC)が挙げられます。このカメラは、約満月の16倍の広さを持つ２度角四方の領域を一度に観測可能です。この特徴を活かし、1時間ごとに同じ領域を観測することで、超新星爆発の瞬間を短時間で捉えることができるのです。

超新星の候補は、PCによる画像処理を通じて選定されます。処理の過程で発生する誤判定や偽物の検出に際しては、アマチュア天文家の協力を求め、インターネットを通じて広く情報を収集する体制が整えられています。

トモエゴゼン計画

KISSプロジェクトの一環として、2017年からはトモエゴゼン計画が開始されます。このプロジェクトでは、東京大学木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡に広視野CMOSカメラが搭載され、可視光を観測するサーベイを実施します。計画名は源義仲に仕えた女性、巴御前に由来しています。2015年11月には、試験機の設置と試観測が成功し、ファーストライトが確認されています。

参加機関と成果

KISSプロジェクトには、国立天文台や甲南大学、広島大学、台湾の国立中央大学、アメリカのロチェスター工科大学などが主な参加者として名を連ねています。参加機関の共同作業によって、これまでにいくつかの超新星が発見されており、独立発見を含む成果の一覧が整備されています。

特に注目すべきは、2014年10月27日にふたご座にて発見された16.6等の矮新星です。この発見は、KISSプロジェクトの取り組みの成果を物語るものであり、今後の研究がさらに進展することを期待しています。

まとめ

KISSプロジェクトは、超新星爆発の理解を深めるための重要なステップとして位置づけられています。今後の観測が、宇宙の仕組みや進化について新たな洞察をもたらすことが期待されます。

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