Kel-Tec KSG

Kel-Tec KSG：コンパクトでパワフルな散弾銃

Kel-Tec KSGは、アメリカ合衆国のKel-Tec CNC社が開発した12ゲージのブルパップ式ポンプアクションショットガンです。警備や護身用を目的として設計され、その最大の特徴は、切り替え可能な2つのチューブラーマガジンです。マガジンを切り替えることで、散弾やスラッグ弾など、状況に合わせた弾薬を使用できます。KSGは『Kel-Tec Shotgun』の略称です。

開発と市場での反響

2011年のSHOTショーで発表されたKSGは、Kel-Tec社にとって2番目のブルパップ製品でした。コンパクトなサイズと高火力という相反する要素を両立させた点が注目され、発売後すぐに人気を集めました。当初の希望小売価格は880ドルでしたが、予想をはるかに超える需要から、発売当初は深刻な品薄状態が続きました。その後、2012年に発生した複数の乱射事件を受け、銃規制強化の懸念から価格が上昇。一時2000ドルを超える高値で取引されることもありました。規制懸念が薄らいだ2014年には、価格は落ち着きましたが、それでも供給が需要に追いついておらず、1300ドル程度の価格で取引されていました。

独自の構造と機能

KSGの構造は、ボルト上部のスイングウェッジによるバレルロック、銃身下部に配置された2つのチューブラーマガジン、そしてマガジン選択レバーが特徴的です。レバーの切り替えによって、どちらのマガジンから給弾するかを選択できます。マガジンが空になった場合は、レバーを切り替えたり、空のマガジンに装填する必要があります。

2つのマガジンを活用することで、例えば片方に散弾、もう片方にスラッグ弾を装填し、状況に応じて弾種を切り替えることが可能です。また、レバーを中央にすると給弾を停止し、薬室に直接装填できます。装填と排出は、ピストルグリップ後部の大きなポートで行われるため、利き腕に関わらず射撃しやすい設計となっていますが、排出される薬莢が熱いため、腕に当たる可能性があるという欠点も指摘されています。照準器は、バレル上部とフォアエンド下部に備えられたピカティニーレールに装着可能です。

各チューブラーマガジンには、2.75インチのショットシェルを7発、3インチのショットシェルを6発装填できます。Kel-Tec社は、マガジンを延長したKSG25（装弾数25発）や、マガジンを1つに減らして軽量化を図ったKS7も開発しています。

運用国と改良

KSGは、韓国の第707特殊任務大隊、フランス国家警察特別介入部隊、イギリスのSAS、そしていくつかの民間軍事会社などで運用されています。

2011年の発売以来、セレクタースイッチの破損や二重給弾といった問題点が指摘されてきましたが、Kel-Tec社は迅速に改良品を開発し、初代KSGの無料アップグレードも提供しました。その他の改良点としては、トリガーリセットの改善、シェルチューブの覗き穴の追加、アクションリリースの修正などがあり、使い勝手が向上しています。

多くの作品に登場

KSGは、映画『ジョン・ウィック』、アニメ『リコリス・リコイル』、漫画『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』、ゲーム『コール オブ デューティ ブラックオプス2』『ソードアート・オンライン・フェイタル・バレット』『ドールズフロントライン』『Alliance of Valiant Arms』など、数多くの作品に登場し、その高い人気を裏付けています。

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