Kh-31 (ミサイル)

Kh-31ミサイル: 概要と特徴

Kh-31（Х-31）は、1970年代末にソビエト連邦で開発された空対艦・対レーダーミサイルです。このミサイルは、固体燃料ロケット及びラムジェットエンジンを組み合わせた推進方式により、超音速での飛行が可能です。特に、発射直後は固体燃料ロケットで加速し、マッハ1.8に到達した後、ラムジェットエンジンに切り替わることで最大マッハ4.5まで加速します。この特性により、敵の防空システムに対する回避能力が高められています。

開発と運用

Kh-31の開発は1980年代末から実施され、ロシア海軍による運用が開始されました。その後、中国海軍もこのミサイルを採用し、YJ-91/KR-1として独自に生産を行っています。また、2022年のロシアのウクライナ侵攻において、Kh-31は空対地ミサイルとして実戦投入されています。NATOではこのミサイルにAS-17クリプトンというコードネームが付けられていました。

タイプと派生型

Kh-31には、主に2つのバリエーションがあります。一つは、アクティブ・レーダー・ホーミング方式を使用する対艦ミサイル型のKh-31A、もう一つは、パッシブレーダー方式を用いる対レーダーミサイル型のKh-31Pです。それぞれの型には初期モデル（Mod1）と射程を延伸させた後期型（Mod2）が存在し、これによって異なる用途に応じた戦闘能力を持っています。また、Kh-31Pは、地上や海上のレーダーを攻撃するために設計されていますが、AWACSなど空中目標を攻撃する改良型も開発中です。

代表的な派生型

• - Kh-31A: 基本型で、アクティブ・レーダー・ホーミング誘導を使用し、対艦攻撃に特化しています。
• - Kh-31P: パッシブ・レーダー・ホーミング誘導方式を採用した対レーダーミサイル型。
• - YJ-91/KR-1: 中国版Kh-31で、主に対レーダー用です。
• - MA-31: Kh-31を基にしたアメリカで開発された標的機。

仕様と性能

Kh-31Aの基本仕様は以下の通りです。

• - エンジン: 固体ロケット統合型ラムジェットエンジン
• - 発射重量: 610kg（Mod1）、700kg（Mod2）
• - 弾頭重量: 90kg（Mod1）、110kg（Mod2）
• - 射程: 50km（Mod1）、70km（Mod2）
• - 最高速度: マッハ4.5（高高度）、マッハ2.5（低高度）

一方、Kh-31Pの仕様も同様に優れた数値を記録しており、特に射程は110km（Mod1）、200km（Mod2）に達します。

搭載機

Kh-31は、様々な航空機に搭載可能で、代表的な機体にはSu-27SM、Su-30M、MiG-29、JH-7Aなどがあります。これらの機体は、Kh-31の運用を通じて、その戦闘能力をさらに向上させています。

このように、Kh-31ミサイルは、優れた技術と多様な用途を持つミサイルであり、現代の紛争でもその重要性を増しています。

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