Kingsoft Internet Security

キングソフトインターネットセキュリティ：軽量で高性能なWindows向けセキュリティソフト

キングソフトインターネットセキュリティは、中国のキングソフト社が開発・提供するWindowsパソコン向けの総合セキュリティソフトです。無料版と有料版が用意されており、その高い性能と軽量さが特徴として挙げられます。本記事では、特に2015年リリースの「Kingsoft Internet Security 2015」を中心に解説します。最新バージョンは2019年リリースの「Kingsoft Internet Security 20」です。

クラウド型ウイルススキャンとダブル防御

本ソフトの最大の特徴は、クラウド型ウイルススキャン技術です。従来のパターンマッチング方式では、最新のウイルス定義ファイルを常に更新する必要があり、新種ウイルスへの対応に遅れが生じることがありました。しかし、キングソフトインターネットセキュリティはクラウドサーバーを活用することで、ほぼリアルタイムにウイルス定義ファイルを更新し、95%の未知ファイルの安全性を1分以内で解析できると発表されています。これにより、新種ウイルスへの対応が飛躍的に向上しました。

さらに、一部のパターンファイルはローカルに保存することで、オフライン環境でのウイルス感染にも対応する「ダブル防御」を実現しています。この二重構造により、多様な脅威からパソコンを守ります。

高い評価と弱点

2010年には、セキュリティソフト評価機関Anti-Virus Comparativesのパフォーマンステストで世界第2位を獲得するなど、その性能の高さが認められています。また、既知ウイルス検出においては数々の賞を受賞しています。一方で、日本の未知ウイルスに対する検出精度は弱点と指摘されていますが、中国国内のウイルスには高い検出率を示すという見解もあります。

構成と機能

Kingsoft Internet Security 2015は、主に以下の2つのプログラムで構成されています。

Kingsoft Anti-Virus 2015: ウイルス対策の中核となるプログラムです。32bit版では、不要ファイルの削除などを行う「ツールボックス」機能も搭載しています。
KINGSOFT System Defender: パソコンの最適化を行うユーティリティソフトウェアです。不要なファイルやキャッシュを削除し、パソコンのパフォーマンスを向上させます。動作不良の予防にも貢献します。

バージョンと価格

無料版には、ポップアップ広告が表示される「無料広告あり版」と、ブラウザのトップページが変更される「無料広告なし版」があります。広告なしで全ての機能が利用できる有料版も存在します。旧バージョンではシリアルの有無で表記が異なりましたが、2011年以降は無料版と有料版で表記が統一されています。

その他の特徴

ソフトウェアのサイズが小さく、動作が軽量です。特にメモリとCPUの使用率が少ない点が評価されています。
中国国内で流行するウイルスに強いとされています。
日本国内で450万人、全世界で2000万人以上のユーザーが利用しています。
64bit OSにも対応しています。

ステルスマーケティング騒動

2015年頃、セキュリティ研究者の高木浩光氏によって、キングソフトが著名人に対して、製品のポジティブな評判形成を依頼していたことが明らかになりました。これは、ステルスマーケティング（ステマ）と批判され、大きな騒動となりました。キングソフト側はステマの意図はなかったと主張しましたが、ネット上では批判が殺到しました。

歴史

キングソフトインターネットセキュリティは2005年9月14日に提供が開始されました。当初は100万本限定で1年間の無償版が提供され、その後も、社会貢献活動の一環として小中高生への無償提供や、様々なバージョンアップ、価格改定などが行われています。2019年には最新版である「Kingsoft Internet Security 20」がリリースされました。

まとめ

キングソフトインターネットセキュリティは、軽量で高性能なWindows向けセキュリティソフトとして、多くのユーザーに利用されています。クラウド型ウイルススキャンによる迅速なウイルス検知、ダブル防御による万全のセキュリティ対策、そして無料版の提供など、多くのメリットがあります。一方で、ステルスマーケティング騒動など、課題もあった製品です。今後、更なる進化が期待されます。

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