Kitsune

Maison Kitsuné（メゾン キツネ）とは

Maison Kitsuné（メゾン キツネ）は、フランスの首都パリと日本の東京という二つの都市をクリエイティブな拠点とする、独特な世界観を持つライフスタイルブランドです。音楽レーベルとしてその歩みをスタートさせ、後にアパレル事業、そしてカフェ事業へと多角的に展開することで、他に類を見ないブランドとしての地位を確立しました。2002年に、ジルダ・ロアエック氏と黒木理也氏という異なるバックグラウンドを持つ二人の創設者によって設立されたこのブランドは、単なるファッションブランドや音楽レーベルの枠を超え、文化やライフスタイルそのものを提案しています。

設立の背景と二人の創設者

ブランドの誕生は、設立者であるジルダ・ロアエック氏と黒木理也氏の出会いに遡ります。ジルダ・ロアエック氏は1974年生まれで、若くしてパリにレコード店を開業するなど、音楽業界に深く関わっていました。特に、世界的に有名なエレクトロニックデュオ、ダフトパンクのマネージャーを務めた経歴はよく知られています。

一方の黒木理也氏は、東京で生まれ、12歳でフランスへ移住しました。ニューヨークでの5年間の滞在を経てパリに戻り、建築士として活動する傍ら、建築事務所での勤務や古着店の経営にも携わっていました。全く異なる分野で活動していた二人が出会ったのは、ジルダ氏がダフトパンクの日本公演の際に黒木氏に通訳を依頼したことがきっかけだったと言われています。この偶然の出会いが、後に音楽、ファッション、アートといった様々な要素を融合させる「Kitsuné」というプロジェクトへと発展していきました。

音楽から始まった歩み：Kitsuné Musique

Maison Kitsunéの原点は、音楽レーベル「Kitsuné Musique」にあります。設立当初から、新進気鋭のアーティストをいち早く見出し、彼らの作品を世界に紹介することに情熱を注ぎました。特に、定期的にリリースされたコンピレーション・アルバムシリーズ『Kitsuné Maison』は、その時代の最新の音楽トレンドを捉え、後の音楽シーンを担うことになる多くのアーティストを発掘・紹介することに成功しました。このシリーズは大きな注目を集め、レーベル、ひいてはブランド全体の知名度を高める重要な役割を果たしました。

ファッションへの展開：Maison Kitsuné（アパレル）

音楽レーベルとしての成功を基盤に、Maison Kitsunéはファッション分野へと活動の場を広げます。音楽とファッションは不可分な文化であるという考えのもと、アパレルライン「Maison Kitsuné」がスタートしました。ウェアは、洗練されたデザインと質の高い素材を特徴とし、パリのエスプリと東京のストリートカルチャーが融合した独特なスタイルを提案しています。アイコニックなキツネのロゴをあしらったアイテムは、ブランドのシグネチャーとなり、幅広い層からの支持を得ています。

ライフスタイルとしての深化：Café Kitsuné

さらにブランドは、人々の日常に寄り添うライフスタイルブランドとしてのプレゼンスを強化するため、カフェ事業「Café Kitsuné」を開始しました。世界中から厳選されたコーヒー豆を使った高品質なコーヒーを提供するだけでなく、各店舗の洗練された空間デザインを通じて、Maison Kitsunéが提案する「心地よいライフスタイル」を体現しています。パリ、東京はもちろん、グローバルに展開するCafé Kitsunéは、多くの人々にとって憩いの場や、クリエイティブなインスピレーションを得る場所となっています。

ブランドのフィロソフィーと今後の展開

Maison Kitsunéの魅力は、音楽、ファッション、カフェといった異なる領域を有機的に結びつけ、一貫したブランドの世界観を表現している点にあります。「パリと東京」という二つの都市の多様な文化が融合することで生まれる、知的でありながらも遊び心のあるスタイルがブランドの核となっています。多角的な事業展開は、顧客がMaison Kitsunéの提案するライフスタイルを様々な角度から体験することを可能にしています。また、2016年には日本の有力企業であるストライプインターナショナルとの資本提携を行い、アジア市場を含むさらなるグローバルな事業拡大に向けた基盤を強化しています。

音楽レーベルとしてのルーツを大切にしながら、ファッション、カフェへとその領域を広げ、独自の進化を続けるMaison Kitsunéは、現代における新しい形のライフスタイルブランドとして、常に注目を集めています。

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