LAPA 3142便離陸失敗事故

LAPA 3142便離陸失敗事故の概要

1999年8月31日20時54分（現地時間）、ブエノスアイレスからコルドバへ向かうLAPA 3142便（ボーイング737-204C、登録番号LV-WRZ）が、ホルヘ・ニューベリー空港からの離陸に失敗しました。この事故により、乗員乗客63名と地上の2名が死亡、少なくとも40名が負傷するという大惨事となりました。これは、アルゼンチンで発生した航空事故としては、アルゼンチン航空644便墜落事故に次いで2番目に死者数が多い事故です。

事故機について

事故機であるボーイング737-204C（LV-WRZ）は、製造番号20389、ラインナンバー251として製造され、プラット・アンド・ホイットニー社製のJT8D-9Aエンジンを2基搭載していました。1970年4月14日に初飛行を行い、4月17日にはブリタニア航空に納入され、イギリスでG-AXNBとして登録されました。その後、1990年2月1日にフランスの航空会社TATヨーロピアン航空に売却され、F-GGPBとしてフランスで登録されました。

LAPAは1996年12月21日からこの機体を所有し、LV-WRZとして登録していました。事故当時、機体は67,864時間の飛行時間と41,851回の離着陸回数を記録していました。機齢は29年と139日でした。

運航乗務員の状況

事故当時、機長は45歳の男性、副操縦士は31歳の男性で、2人とも事故で死亡しました。機長は6,500時間の飛行経験があり、そのうち1,710時間が事故機と同じボーイング737での飛行時間でした。副操縦士は4,085時間の飛行経験があり、そのうち560時間を737で飛行していました。

アルゼンチンの民間航空事故調査委員会（JIAAC）の報告書によると、2人の操縦士の飛行およびシミュレーター訓練の記録には、操縦能力に問題があることを示す兆候が度々見られました。報告書では、彼らが技術的、心理的な要件を満たしており、十分な経験を持っていたとしながらも、後の法廷審理では機長の操縦資格が失効していたことが判明しました。

運航乗務員の個人的な資質の問題が事故に影響を与えたことは明らかでしたが、その後の法的捜査では、操縦士個人の責任だけでなく、空軍やLAPAの組織文化における統制の欠如も事故の遠因として重要視されました。

事故の経緯

3142便が離陸滑走を開始した直後、離陸警報装置が作動し、機体が正しく設定されていないことを示しました。しかし、操縦士らはこの警報を無視して離陸を続行し、フラップが出されていないことに気づきませんでした。機体は滑走路をオーバーランし、空港の外周フェンスを突き破り、道路を横断して通行車両に衝突、最終的には道路建設機械と高速道路の中央分離帯に衝突しました。燃料漏れとガス漏れにより火災が発生し、機体は全損となりました。

事故原因の究明

アルゼンチンの民間航空事故調査委員会（JIAAC）は、事故の直接的な原因は「LAPA 3142便の運航乗務員が離陸開始時にフラップを出し忘れ、離陸用設定の誤りを示す警報を無視したこと」であると結論付けました。

その他の要因として、JIAACの報告書は以下の点を指摘しています。

運航乗務員の訓練不足
飛行に無関係な過度の会話
操縦士の個人的な問題
ステライル・コックピット・ルールの不履行
* 警報システムの問題

刑事捜査とその後

本事故の後、刑事審判が開始され、LAPAの取締役の一部と空軍の担当者が刑事訴追されました。LAPAは事故から数年後の2003年に倒産しました。

類似の事故と映像化

デルタ航空1141便墜落事故が類似の事故として挙げられます。

本事故は、映画『ウィスキー・ロメオ・ズールー』や、メーデー!:航空機事故の真実と真相 第15シーズン第9話「Deadly Discussion」で映像化されています。

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