LET'S DO IT -愛は思うまま-

アルバム『LET'S DO IT -愛は思うまま-』について

吉田美奈子の通算6作目のスタジオアルバム『LET'S DO IT -愛は思うまま-』は、1978年10月25日に発売されました。本作は、彼女がアルファレコードに移籍してからの第一弾作品としてリリースされ、以降1983年に契約が終了するまでの間に、5枚のアルバムが同社から発表されました。このアルバムは、彼女の音楽キャリアにおける重要な一歩となりました。

プロデューサーと制作過程

このアルバムの制作においては、ジーン&ビリー・ペイジがプロデューサーとして迎えられ、ハリウッドのフィルムウェイズ・ハイダー・スタジオで録音が行われています。前作『TWILIGHT ZONE』では、自分の音楽を手に入れるという強いスタンスが打ち出されていましたが、この作品にはそのスタイルから少し距離を置いた印象が見受けられます。その背景には、当時の社長であった村井邦彦がロサンゼルスでジーン・ページと契約を結び、“このようなアルバムを作るように”という指示があったことが挙げられます。吉田はこの状況に頭を悩ませつつも、双方が歩み寄ることが大切であると理解し、納得しながら制作に取り組みました。

吉田は、ハリウッド・サウンドに寄りすぎないように、日本でセッションを行ったミュージシャンたちを呼び寄せて録音し、そのテープをアメリカに送った際、出来上がったレコーディングに対して“デモ・テープに弦とホーンが加わっただけではないか”と指摘した事例などから、双方のアプローチが見えてきます。このようにして生まれたアルバムは、ソングライターとボーカリストとの役割分担が明確になり、全体が歌に焦点を当てた作品となっています。

収録曲の魅力

本作には、特に印象深い楽曲が数多く収録されています。「愛は思うまま」「海」、そして「猫」といった曲は、後にアルバム『IN MOTION』に再アレンジを施されて収録されることになります。また、山下達郎が作曲を手掛けた「雲のゆくえに」や「時よ」といった楽曲は、彼自身のアルバムにも収録されており、互いの作品の中での共演も見られます。

他にも、本作唯一のカバー曲である「I'D RATHER LEAVE WHILE I'M IN LOVE」は、リタ・クーリッジによってヒットした楽曲で、後にリカット・シングルとしてもリリースされました。各楽曲は、吉田美奈子の独特の歌声とリリックが融合し、リスナーに深い印象を与えます。

収録曲一覧

SIDE A

1. 愛は思うまま (LET'S DO IT)
2. 恋の手ほどき (I'LL TEACH YOU ALL ABOUT LOVE)
3. 時よ (TIME)
4. 海 (THE SEA)
5. アイッド・ラーザー・リーヴ・ホワイル・アイム・イン・ラヴ (I'D RATHER LEAVE WHILE I'M IN LOVE)

SIDE B

1. 愛の炎 (FLAMES OF LOVE)
2. 猫 (CAT)
3. 雲のゆくえに (CLOUDS)
4. 影になりたい (I WANNA BE YOUR SHADOW)

このアルバム『愛は思うまま』は、吉田美奈子が音楽家として真摯に向き合った成果が凝縮された作品であり、彼女の魅力を再確認させる重要な一枚となっています。

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