LMSパトリオット級蒸気機関車

LMS パトリオット級蒸気機関車の歴史と特性

LMSパトリオット級蒸気機関車は、イギリスの鉄道史において重要な役割を果たした蒸気機関車の一つです。この機関車は、ロンドン・ミッドランド・アンド・スコティッシュ鉄道（LMS）によって導入され、1930年から1934年にかけて52両が製造されました。設計は著名な鉄道技術者であるヘンリー・ファウラーが手がけ、車輪配置は4-6-0（2C）という特性を持っており、急行旅客列車用としての運用を想定されていました。

設計と製造

パトリオット級の設計は、LMSのロイヤル・スコット級蒸気機関車の台枠と、LNWRのクロートン級蒸気機関車のボイラーを組み合わせたものでした。このユニークな設計から、「ベビースコット」という愛称が付けられたのです。最初の2両は、LNWRクロートン級のNo.5902および事故全損したNo.5971から改造されており、その際には大型ボスや「ダブルラジアル」ボギートラックなどの高度な部品が使用されました。この初期の2両は、元の動輪を保持しており、特別な存在感を示しています。

続いて製造された50両のうち、40両は構造上には新製でしたが、経理上の都合からクロートン級の改造として分類されました。そうすることで、資産ではなく損失に計上されることを避けるための工夫でした。残りの10両は、純粋に新造機としての扱いを受けました。

再改造

1946年から1949年にかけて、18両はLMS改ロイヤル・スコット級蒸気機関車に基づき、スタニア2Aボイラー、キャブ、テンダーなどの主要部分が再改造されました。これにより、機関車の性能が向上し、新たな運用形態に対応できるようになりました。特に、この改造の一部は、イギリス国鉄に引き継がれる前に行われたことが特徴です。1948年3月にはイギリス国鉄が番号を再付与し、機関車の管理が一段と進められました。

運用と廃車

この機関車は、1940年代から1960年代にかけて多くの旅客列車に使用されましたが、次第に経年劣化が進み、1960年から1962年にかけて残りの34両が順次廃車されることになりました。中には未改造の機関車も多く、これらは「未改造パトリオット級」と呼ばれて親しまれました。改造を受けていない機関車は、時代の変化に耐えられなかったことから、多くが引退を余儀なくされたのです。

まとめ

LMSパトリオット級蒸気機関車は、その独自の設計と魅力的な歴史を持つ重要な存在であり、鉄道ファンの中でも特に愛されています。技術者たちの挑戦と、時代のニーズに応える努力の結晶であるこの機関車は、今なお多くの人々に記憶されています。今後も、その歴史が語り継がれることを期待したいところです。

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