LOST+BRAIN

『LOST+BRAIN』の概要

『LOST+BRAIN』は、原作・藪野続久、作画・大谷アキラによる日本の漫画で、2008年に『週刊少年サンデー』で連載されました。全27話から成り、美しい絵と緻密な心理描写で描かれる物語が特徴です。

物語の発端

物語は、聖森高校に通う高校一年生、氷山漣から始まります。彼は頭脳明晰でスポーツ優秀、さらには美術や音楽の才能にも恵まれた完璧な人物ですが、同時に周囲を見下し、世の中への失望から目的を見出せずにいる青年でもあります。そんな彼が不良たちによる「カツアゲ疑惑」の捏造をきっかけに、世界を変えたいという強い意志を持つようになります。

数日後、氷山は催眠療法のセミナーで九遠寺一樹というプロの催眠療法士と出会い、催眠を通じて人々を操作し解放する力に感銘を受けます。彼は自身の力で世界を変える計画を練り始め、1年後には実験を行い、本格的に催眠を利用した新たな世界を創造するプロジェクトをスタートさせます。

氷山の計画とその影響

氷山は、同級生の設楽晴秀を仲間に引き入れ、さらにはクラスメイトの大沢を実験体にして、政治的テロを試みます。具体的には、新聞部の取材に応じた内閣官房長官を自爆テロで暗殺するという衝撃的な行動に出ます。氷山の計画は他の生徒たちを巻き込む危険なもので、彼の野望は周囲に深刻な影響を及ぼします。

九遠寺は、捜査の指揮を任され、「事件の首謀者」が聖森高校の生徒の中にいると推理。生徒たちに催眠を施し、情報を引き出そうとしますが、氷山は彼の行動を阻止するため、軽音部や新聞部の部長たちを自殺させる計画を遂行します。その遺書には「真の首謀者は九遠寺」と記されており、ますます事態は混乱を極めます。

中盤の展開

氷山は、以前から友人でもあった園山瑞希を仲間に加え、さらなる計画へと進みます。彼女の助けを借りて、「大量失踪事件」を演出しようと試み、神原隼人というタレントを巻き込み、メディアを利用して世間を欺いていきます。しかし、計画は氷山の思惑通りには進まず、神原が毒死する事態が発生し、彼の計画の脆さが浮き彫りになります。

終盤とクライマックス

物語は終盤に差し掛かり、九遠寺は氷山を犯人であると断定。周囲との関係が複雑化する中、氷山は10万人の人質を使い、国会を占拠する権力を掌握します。催眠を使った新たな支配を目指す氷山ですが、堅実な九遠寺との対決が待っていました。市民は催眠の危険性に気づき、氷山の計画は破綻します。

エピローグ

物語は氷山の失踪で幕を閉じ、その後の動向は不透明でした。彼の行動に影響を受けた生徒たちは次第に回復し、物語が終わるかと思いきや、彼の後ろ姿で淡い希望を残して描かれています。『LOST+BRAIN』は、天才である主人公の内面の葛藤と、周囲との関係性を巧みに描く作品であり、深いテーマを扱っています。

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