LT-35

LT-35（LT vz. 35）戦車の概要

LT-35、または理論名LT vz. 35は、1935年にチェコスロバキアのシュコダ社によって開発された軽戦車です。この戦車は、当時のチェコスロバキア軍の装備の一環として位置付けられ、約10トンの重さを持っていました。

開発の背景

チェコスロバキア軍は、1920年代末から1930年代初頭に掛けて、ルノーFT-17などの旧式の軽戦車を装備していました。しかし、これらの車両が時代遅れになってきたため、1930年代中半に新しい国産軽戦車の開発が始まりました。最初に国産戦車として採用されたのはČKD社製のLTvz.34でしたが、その性能が不十分であり、また国際情勢の緊迫化も影響し、新たな戦車の開発が急務とされました。

1935年、チェコスロバキア軍は新型軽戦車の開発計画を競わせるコンペを実施しました。この中で、ČKD社とシュコダ社が競い合い、最終的にシュコダ社の案が選ばれました。LT vz. 35はその結果、正式に採用されることとなりました。

設計と特徴

LT vz. 35は、装甲厚が前面25mm、側面15mmと設定され、またより強力なエンジンが搭載されていました。動力源には67馬力のPraga N-67エンジンが用いられ、最高速度は約30km/hを実現しました。戦車には、37mmのシュコダ製戦車砲が取り付けられており、この火力は実戦でも十分通用するものでした。

この戦車は1935年10月30日付けで正式に制式化され、160輌が初版として発注されました。シュコダ社のみならず、ライバルのČKD社にも生産が委託されるなど、国の戦車製造における競合関係が色濃く反映されています。

戦場での運用

LT vz. 35はチェコスロバキア軍で多くの作戦に参加し、特に1938年にはズデーテン地方での暴動に投入されました。1940年にはドイツ軍が侵攻する際にも運用され、後にドイツ軍によってPz.Kpfw.35(t)として管理されることとなります。

戦闘の中でLT vz. 35は、時には敵の戦車に対して優位に立つ場面もありましたが、その後、ソ連のT-34戦車などの出現により、次第に性能不足が顕著になり、その役割を次第に終えることになりました。

バリエーションと影響

LT vz. 35は、基本形の他にも幾つかのバリエーションが生まれ、ドイツ軍の指揮戦車や迫撃砲牽引車両に改造されることもありました。このように多様な用途で使われたことが特筆されます。

また、LT vz. 35は他国にも輸出され、特にルーマニアやブルガリアでの運用が確認されています。これにより、戦車の設計や運用についての影響も大きかったといえます。

結論

LT vz. 35は、チェコスロバキアの防衛力向上の一環として位置付けられ、その開発は単なる技術的進展にとどまらず、当時の政治情勢や経済状況とも深く関わっていました。実戦での経歴は短命でしたが、そのデザインは後の戦車開発に多大な影響を与えたことは間違いありません。この戦車は戦争の早い時期に使用されたため、当時を象徴する重要な兵器の一つといえるでしょう。

もう一度検索