LZ 127グラーフ・ツェッペリンの概要
LZ 127は、
20世紀初頭に登場した
ドイツの巨大
飛行船群の中から特に注目される存在で、愛称は「グラーフ・
ツェッペリン」。その名は、
ドイツの航空技術者であるフェルディナント・フォン・
ツェッペリン伯爵に由来しています。この
飛行船は、
1928年9月18日に初飛行を果たしました。
全長236.6メートル、最大体積は105,000立方メートルと、当時の
飛行船の中でも最大を誇りました。浮力を得るために
水素を使用し、動力にはブラウガスを用いた5基のマイバッハ550HPエンジンで推進されていました。60メートルトンの荷物を運ぶ能力を備えており、商業飛行だけでなく、科学的調査や観光といった役割も担っていました。
歴史的な航行
LZ 127の初期の運航計画は、実験的な目的に基づいていましたが、経済的理由から渡航者や郵便物の輸送も行うことに。
1928年10月には
アメリカ合衆国ニュージャージー州のレイクハーストに最初の長距離飛行を実施し、
ニューヨーク市での盛大な歓迎を受けました。その後、
ドイツ、
イタリア、
パレスチナ、
スペインなどを訪れ、多くの注目を集めました。
1929年8月には、LZ 127による地球一周の壮大な航行が計画され、アメリカの著名な出版者である
ウィリアム・ランドルフ・ハーストがスポンサーとなったことで、数多くの企業から支援を得ることができました。この冒険の旅は8月8日に
フリードリヒスハーフェンから出発し、
シベリアを横断し
東京に向かう無着陸飛行が実施されました。8月23日には初の
太平洋横断飛行が行われ、
ロサンゼルスのマインズ・フィールドに無事到着しました。
この航行は5,998マイル(約9,653キロメートル)を3日で飛行し、続いてシカゴを経由してレイクハーストに戻るという、移動にかかった総時間は21日を超えました。
飛行船の影響と後の運命
LZ 127の成功により、
ツェッペリン社は新たなモデルの開発に着手しますが、1931年の
イギリスの
飛行船R101の事故が影響を与え、以降の
飛行船は
水素ではなく
ヘリウムを使用する方向に移行せざるを得なくなる状況が生まれました。しかし、アメリカからの
ヘリウムの調達が難しく、結局は
水素を使用する設計に戻ることになりました。1937年のヒンデンブルク号の爆発事故は、
飛行船の安全性に対する国民の信頼を大きく損なう結果となり、LZ 127もその役目を1937年に終えることになります。
飛行船の運行が終わった後、LZ 127は博物館に収蔵されましたが、その影響は切れ目なく存続し、航空旅行の歴史に燦然と輝く存在として今でも語り継がれています。第二次世界大戦の勃発により、残された
飛行船も破壊され、
飛行船の時代は幕を閉じることとなりました。