Lady (麻倉未稀のアルバム)

麻倉未稀が1982年6月5日に発表した、彼女にとって通算2作目となるオリジナルアルバムが『Lady』です。CRYSTAL BIRDレーベルよりリリースされ、販売はキングレコードが行いました。

このアルバムに付けられた帯コピーは「モア・セクシー＆エレガント。LADY未稀がお届けする、スマートでポップなセカンド・アルバム」であり、前作からさらに洗練された、より大人びた魅力を放つポップサウンドを目指した意欲作であることが伺えます。アルバムには、先行シングルとしてリリースされた「黒いパンプス」を含む全10曲が収録されています。

特に注目されるのは、LPレコードにおけるA面に位置する前半5曲です。これらの楽曲は、日本の歌謡曲・ポップス界に数々の名曲を生み出した作曲家、筒美京平氏が手掛けています。これは、当時の担当ディレクターが麻倉未稀を筒美氏に紹介し、楽曲提供を依頼したことから実現した貴重なセッションでした。筒美氏はその依頼を快諾し、アルバム制作に深く関わることになります。

制作にあたり、麻倉未稀は筒美氏のオフィスへ直接出向き、マンツーマンで指導を受けながらレコーディングに臨みました。筒美氏は麻倉の声質や歌唱表現を細やかに捉え、彼女の声に最も映えるメロディーラインやフレージングを追求。必要に応じて作曲したメロディーをその場で調整するなど、徹底的に作り込んでいきました。こうした両者の密なコミュニケーションと筒美氏のプロデュースワークにより、麻倉未稀の歌唱の魅力を最大限に引き出す名曲群が誕生したのです。

一方、LPのB面に収録された楽曲群には、麻倉未稀自身が作詞を手掛けたものが多く含まれています。筒美京平氏による都会的で洗練されたA面に対し、B面では彼女自身の内面や感性がよりストレートに表現された歌詞世界が展開されており、アルバム全体の多様性を生んでいます。

収録曲のうち、「黒いパンプス」はアルバムリリースに先駆けて2ndシングルとして発表され、多くのリスナーに届けられました。また、アルバム収録曲である「Body Talk」は、後に3rdシングル「女嫌い」のカップリング曲としてシングルカットされています。

フィジカルメディアの形態による違いとしては、LPレコード盤と後にリリースされたCD盤ではジャケット写真が異なります。CD盤に採用されている写真は、実はLP盤のライナーノーツの中に使用されていたものが転用されたものです。

時代を経て、このアルバムは様々な形で再リリースされています。オリジナルのLP発売から数年後の1985年8月21日には、初めてCD化が実現しました。さらに、2014年8月27日にはオンデマンドCDサービスであるMEG-CDとしても販売されています。そして、音楽リスニングの主流がデジタルへと移行する流れを受けて、2023年2月3日からは主要な音楽配信サービスでの取り扱いも開始され、現代でも手軽に楽しめるようになっています。

収録曲一覧

アルバム『Lady』に収録された全10曲は以下の通りです。括弧内はトラックの収録時間を示します。

Side A
Guilty (3:46)
作詞: 竜真知子 / 作曲・編曲: 筒美京平
Back Mirrorでさよなら (4:37)
作詞: 竜真知子 / 作曲・編曲: 筒美京平
Body Talk (4:11)
作詞: 麻倉未稀 / 作曲・編曲: 筒美京平
※後に3rdシングル「女嫌い」のB面としてシングルカット
あなただけ Je t'aime (4:25)
作詞: 竜真知子 / 作曲: 筒美京平 / 編曲: 船山基紀
最上階 (4:22)
作詞: 竜真知子 / 作曲: 筒美京平 / 編曲: 船山基紀

Side B
黒いパンプス (4:11)
作詞・作曲: いわさきゆうこ / 編曲: 瀬尾一三
※2ndシングルA面曲
Summer Time Again (4:03)
作詞: 麻倉未稀 / 作曲: 高瀬政彦 / 編曲: 青木望
やさしく誘惑（ころ）して (3:05)
作詞・作曲: 麻倉未稀 / 編曲: 青木望
七つの海はパラダイス (4:11)
作詞: 宇佐美恵子・麻倉未稀 / 作曲: 高瀬政彦 / 編曲: 松井忠重
エンドレス ラブ (5:21)
作詞: 麻倉未稀 / 作曲: 高瀬政彦 / 編曲: 青木望

※CD盤および音楽配信版も、LP盤と同じ曲順・内容で収録されています。

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