Li-2 (航空機)

Li-2（リ2）: ソビエト連邦の輸送機

Li-2（リ2）は、ソビエト連邦によって開発された輸送機であり、主に第二次世界大戦中に利用されました。航空機設計者ボリース・パーヴロヴィチ・リスノーフが設計し、ロシア語では「Ли-2」（リー・ドヴァー）と呼ばれています。NATOのコードネームは「キャブ」として知られています。

概要

この機体の開発は、アメリカ合衆国のDC-3旅客機を基に行われました。リスノーフは、部品数を減少させ、機体の強度を増大させ、固定武装の追加など大幅な改設計を行いました。これにより、Li-2は軍用輸送機としても機能する能力を有するようになり、1940年から1945年までの間に約2000機が生産されたとされています。

生産されたLi-2は、輸送のみにとどまらず、爆撃機としても使用される場合がありました。戦後も、ソビエト連邦及びその影響下にある東側諸国で旅客機や輸送機として運用され続け、改造を受けながら2010年代にはまで活躍し、ソ連軍では1970年代までの間使用されました。

開発背景

1930年代中頃、ソ連ではカリーニン設計局やツポレフ設計局による大型旅客機の開発が進められていましたが、既存機体K-5などでは収容能力に不足があるとされ、新たな旅客機の開発が切望されていました。海外機体の輸入やライセンス生産も検討され、アメリカのDC-2やDC-3が候補に上がりました。

その中で、ボリース・パーヴロヴィチ・リスノーフは、DC-3を基に1293ヶ所もの改良を加え、寒冷地域でも運用可能なエンジンを搭載した輸送機「PS-84」を設計しました。この機体はメートル法に合わせた設計変更が行われ、降着装置も雪中で使用できるようカスタマイズされましたが、その結果、本来のDC-3より約400kg重く、飛行性能は犠牲にされました。

1942年以降、Li-2として軍用輸送機の量産が開始されました。この機体は爆弾やロケット弾を最大1トンまで搭載することができ、軽爆撃機としての運用も行われることがありました。

役割と派生型

大祖国戦争中、ソ連はアメリカから軍用版のDC-3であるC-47を700機提供され、こちらも軍用輸送機として活用されました。中にはLi-2と似たようにエンジンを換装するなどの改良が行われた機体も存在しました。Li-2は多くの派生型が存在し、それぞれ異なる目的で使用されました。

諸元

以下にLi-2VV仕様の主な諸元を示します:

• - 全幅: 28.81 m
• - 全長: 19.65 m
• - 高さ: 5.15 m
• - 翼面積: 91.7 m²
• - 機体重量: 7650 kg
• - 積載重量: 11700 kg
• - 貨物搭載量: 最大2950 kg
• - 搭載エンジン: M-62 IR ×2
• - 武装: 7.62mm ShKAS機関銃 機首固定×1、胴体上部旋回式銃塔×1
• - 最大速度: 270 km/h
• - 巡航速度: 240 km/h
• - 着陸速度: 108 km/h
• - 航続距離: 2600 km
• - 最大上昇高度: 5600 m

現存機体とその意義

現存するLi-2機体は、当時の航空機技術とその運用性を物語る貴重な存在です。これらの機体は、多くの国や地域において重要な役割を果たし続けており、航空史における重要な一ページを彩る存在です。

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