Limbo (プログラミング言語)

Limboは、分散システムを構築するためのプログラミング言語として、ベル研究所のSean Dorward、Phil Winterbottom、ロブ・パイクによって設計されました。この言語は、Infernoオペレーティングシステム上で動作するアプリケーションソフトウェアを作成するために用いられます。

コンパイルと実行

Limboコンパイラは、特定のアーキテクチャに依存しないオブジェクトコードを生成します。このコードは、Dis仮想マシン上でインタプリタとして実行されるか、実行時にコンパイルされてパフォーマンスを向上させることができます。この仕組みにより、Limboで記述されたアプリケーションは、Infernoが動作する全てのプラットフォーム上でシームレスに実行可能です。

並行処理のモデル

Limboの並行処理モデルは、アントニー・ホーアのCommunicating Sequential Processes（CSP）の理論に強く影響を受けています。これにより、プロセス間での安全で効率的な通信が実現されています。

言語の特徴

Limboは、現代的なプログラミングに必要な多くの機能を備えています。

モジュラープログラミング：コードを整理しやすく、再利用性を高めるためのモジュール化をサポートします。
並行プログラミング：複数の処理を同時に実行するための機能を備え、効率的な分散システム構築を可能にします。
強い型チェック：コンパイル時と実行時の両方で厳格な型チェックを行い、プログラムの信頼性を向上させます。
型付きチャンネルによるプロセス間通信：安全で効率的なプロセス間通信を実現するための型付きチャネルを提供します。
自動ガベージコレクション：メモリ管理を自動化し、プログラマーの負担を軽減します。
単純抽象データ型：複雑なデータ構造を抽象化し、プログラムの可読性と保守性を向上させます。

コード例

Limboの構文はPascalに似た定義を採用しており、変数宣言に`VAR`キーワードは使用しません。

limbo

Hello world

module Hello;

init() {
sys->print("Hello, world!
");
}

参考書籍

LimboとInfernoに関する詳細な情報を提供している書籍として、Phillip Stanley-Marbellによる「Inferno Programming with Limbo」があります。この書籍は、Limboのプログラミングを学ぶ上で貴重な資料となります。また、Martin Atkins、Charles Forsyth、ロブ・パイク、Howard Trickeyによる「The Inferno Programming Book」も執筆中ですが、未だにリリースされていません。

関連技術

Limboは以下の技術と関連があります。

Inferno (オペレーティングシステム): Limboが動作する基盤となるオペレーティングシステムです。
Plan 9 from Bell Labs: Infernoの開発に影響を与えたオペレーティングシステムです。
Go (プログラミング言語): 並行処理に焦点を当てた現代的なプログラミング言語です。

外部リンク

Limboに関する詳しい情報については、以下の外部リンクを参照してください。

Vita Nuova page on Limbo:
A Descent into Limbo by Brian Kernighan:
The Limbo Programming Language by Dennis M. Ritchie and Addendum by Vita Nuova.:
Inferno Programming with Limbo by Phillip Stanley-Marbell:
Threaded programming in the Bell Labs CSP style:

もう一度検索