Love song (2023年の映画)

Love song

2023年に日本で公開された映画。『Love song』（英題：Love song）は、児玉宜久が監督を務め、増田有華が主演を務めた作品である。同年10月20日、池袋シネマ・ロサでの公開を皮切りに上映された。

物語

物語の主人公は、鳴かず飛ばずのジャズシンガーとして日々を過ごす藤咲花。彼女のマネージャーであり、幼馴染でもある天野猛は、花の成功を願う一方で、自身の生活を支えるために覚せい剤の取引にも手を染めていた。猛は、何とか花を売り出したい一心で、取引で手に入れた覚せい剤を組織に内緒で売却しようと試みる。しかし、その企みは暴力団員の久住勇哉とその手下に見破られてしまう。追い詰められた猛は、久住たちによって撃たれ、命を落とすことになる。

絶命寸前、猛は最後の力を振り絞り、花に電話をかけ、盗んだ薬の隠し場所を伝える。花は猛のメッセージに従い、隠されていた覚せい剤を見つけ出す。愛する幼馴染の命を奪われた花は、久住勇哉への激しい復讐心を胸に誓う。

久住に追われる身となり、自宅にも帰れなくなった花は、偶然にも幼馴染でかつての恋人である加地誠と再会する。花は窮状を誠に話し、一時的に彼の部屋に匿ってもらうことになる。二人は危険な状況の中で再び互いに惹かれ合い、愛し合うようになる。

一方、盗まれた覚せい剤を見つけられずにいる久住は、組織の幹部である蜂谷からも冷遇され、焦りを募らせていた。彼は手下たちと共に、血眼になって花を捜索する。花は裏社会の情報に詳しい彫師の国廣から情報を得るが、皮肉にも久住もまた、同じ国廣に接触を図っていた。

花は復讐の機会を伺うため、ヤクザが取引に利用することで知られるバー「ブーメラン」で働き始める。危険が刻一刻と迫る中、花は復讐計画を着実に実行に移していく。誠との関係を深めつつも、彼女は闇ルートから拳銃を手に入れ、久住への復讐に向けて最終的な準備を進めていくのだった。

登場人物

藤咲花：演 - 増田有華
物語の主人公。売れないジャズシンガーとして日々を過ごしていたが、突然の悲劇に見舞われ、暴力団への復讐を決意する強い女性。
加地誠：演 - 木口健太
花の幼馴染であり元恋人。現在は警備員として働く。追われる花を匿い、物語に関わる。
久住勇哉：演 - 山口大地
半グレ集団から暴力団に上がった男。天野猛を殺害し、覚せい剤を巡って花を追う。
光石陽子：演 - 藤吉久美子
バー「フラミンゴ」のママ。
国廣：演 - 本田博太郎
裏社会の情報に精通した彫師。花と久住の両方と接触を持つ。
天野猛：演 - 青木一馬
花のマネージャーであり、覚せい剤の売人。彼の死が物語の発端となる。
蜂谷：演 - 広瀬彰勇
暴力団幹部。久住に対して厳しい態度をとる。
その他：城山（演 - 平山大）、井原（演 - 牧野裕夢）ら久住の手下、大友（演 - 宍戸英紀）などが登場する。

スタッフ

本作の監督は児玉宜久が務めた。脚本は村川康敏と宍戸英紀が担当。企画は利倉亮と郷龍二、プロデューサーは江尻健司、北内健らが名を連ねている。撮影は中村耕太、照明は竹村潤、録音は大塚学、美術は石毛朗、編集は高橋信之がそれぞれ担当。音楽はLes.R-Yukaが手掛け、作品の雰囲気を盛り上げている。

製作・背景

本作は当初、『Love song（仮題）』として企画・撮影が進められた。主要な撮影は2023年2月17日から2月21日という、わずか数日間の集中撮影によって行われた。その後、同年6月に作品は無事完成を迎えている。

ロケ地

本作は、横浜の彫師スタジオ「横濱 彫光」、バーとして登場する「BOOMERANG ブーメラン」をはじめ、スタジオ トランバネーロ、長沼組、シティコミュニケーションズなど、物語の舞台となる様々なロケーションで撮影された。これらの場所が、作品の持つ裏社会の空気感や主人公の心情の変化を効果的に表現している。

もう一度検索