M式ATS

M式ATSの概要

M式ATS（エムしきエーティーエス）は、名古屋鉄道および豊橋鉄道において使用される先進的な自動列車停止装置です。1965年に採用されたこのシステムは、周波数変周式の地上子を2個1組として設計されており、その特徴として列車の運行速度を監視する機能を備えています。

この装置は列車が所定の運転条件に基づき、適正な速度で運行されているかを特定の地点で確認します。もし列車が照査速度を超過した場合、つまり、2つの地上子の間を0.5秒以下で通過する場合には、自動的に非常制動が作動します。この仕組みは点制御によるパターン方式で構築されているため、列車の安全を確保するための重要な要素となっています。なお、速度の測定には速度計や速度発電機は使用されていません。

ただし、M式ATSには絶対停止が不可能であるという欠点があり、この問題は時差式ATSの課題でもあります。また、終点部分には地上子を密集して配置する工夫がされており、実際の運用において特に問題は生じていません。1997年からは豊橋鉄道でも導入が進められており、より広範囲での運用が実現されています。

地上子の設置方法と設置箇所

M式ATSにおける地上子の設置は、照査地点の位置や照査箇所の数、照査速度を考慮して決定されます。ATSの主要な機能として、信号現示に連動して列車を停止させるための追突防止用地上子が使用されており、主機能を補完するための誤出発防止用地上子や誤進入防止用地上子も設けられています。さらに、信号現示に連動しない付加機能として、分岐器、路線終端、曲線、工事区間や危険区域など、速度制限が求められる場所にも地上子が設置されています。

名鉄全線や名古屋本線との共用区間においても地上子が配置されており、具体的にはJR東海飯田線の豊橋駅から平井信号場間にかけて15,817箇所が設置されています。この数は今後もさらに増設される予定です。速度照査が行われる速度制限区間では、速度制限標の下にATSの表示があることが確認でき、安全運行を支える重要な役割を果たしています。

M式ATSは列車の安全性を高めるための重要なシステムであり、名古屋鉄道や豊橋鉄道の運行の信頼性を支える基盤となっています。これにより、乗客や鉄道職員の安全が一層確保されています。

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