M+Seg

M+Seg：ワンセグ時代の先駆者、音楽番組の新たな試み

2009年、朝日放送（ABCテレビ）で放送された『M+Seg（エム・セグ）』は、日本の音楽番組の歴史に新たな1ページを刻んだ番組と言えるでしょう。約半年間、毎週月曜日の深夜（日曜日深夜1時10分から1時40分）に放送されたこの番組は、その斬新な放送形態で注目を集めました。

ゲストアーティストとの親密なトークと多彩な演出

番組の最大の魅力は、毎回話題のアーティストをゲストに迎え、3人のMCとの軽快なトークでアーティストの魅力を深く掘り下げていた点です。世代の異なる3人のMCとの掛け合いは、アーティストの意外な一面を引き出すことも多く、視聴者を楽しませました。トークの合間には、様々なアーティストからのメッセージビデオが流れ、番組をさらに彩っていました。ゲストとの距離の近さが感じられ、アーティストの素顔に迫る、親しみやすい番組作りが成功の鍵だったと言えるでしょう。

ワンセグ独立編成：時代の波に乗った革新的な試み

しかし、『M+Seg』を真に画期的な番組たらしめたのは、その放送形態です。ワンセグ独立編成という、当時としては非常に珍しい試みが採用されました。番組はワンセグ、デジタル放送、そしてアナログ放送の全てで放送されていましたが、ワンセグ放送では、トーク部分を大幅に削減し、代わりにゲストアーティストやVTR出演アーティストのプロモーションビデオを多く放送していました。デジタル放送とアナログ放送でも一部、ワンセグと同様の構成が採用されました。そのため、デジタル・アナログ放送では、ワンセグとの同時視聴を促す告知が頻繁に行われていたのです。

ワンセグでのトークは、途中から飛び乗ることもありましたが、視聴者に不自然さを感じさせないよう、細やかな配慮がなされていました。また、番組は携帯電話との連動を強く意識した構成になっており、連動データ放送はワンセグのみ、プレゼントの応募もABCの携帯サイトからのみ受付けるなど、モバイル環境を積極的に取り入れていました。

ABCテレビは、2008年に試験的にワンセグ独立編成の番組を放送していましたが、『M+Seg』は定時枠での放送という点で、日本のテレビ局における初の試みとなりました。この挑戦的な試みは、モバイル機器の普及が加速する時代を先取りしたものと言えるでしょう。

出演者：個性豊かなMC陣と落ち着いたナレーション

番組のMCは、ほしのあきさん、如月音流さん、小林さりさんという、個性豊かな3人が務めました。それぞれの持ち味を生かした軽妙なトークは、番組の雰囲気を大きく左右し、視聴者の共感を呼びました。ナレーションは、きしめんさんが担当し、落ち着いた声で番組全体をまとめていました。MCとナレーターの絶妙なバランスが、番組全体のクオリティを高めていたと言えるでしょう。

結論：時代の先端を行く、チャレンジングな番組

『M+Seg』は、ワンセグという新たなメディアの可能性を追求し、視聴者参加型の番組構成を取り入れるなど、多くの点で時代の先端を行く、チャレンジングな番組でした。放送期間は短かったものの、その革新的な試みは、後の音楽番組やメディアのあり方に影響を与えたと言えるでしょう。ワンセグ独立編成という試みは、今日の多様なメディア環境を予見していたと言えるかもしれません。

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