M1917軽戦車

M1917 軍用軽戦車

M1917戦車は、アメリカ合衆国でライセンス生産されたFT-17軽戦車であり、初の量産型戦車として1918年にアメリカ陸軍に採用されました。この戦車は、連合国の一員として第一次世界大戦に参戦した際、アメリカ陸軍が求めた戦車の調達に応じて設計されました。M1917は、総計約4,440両の生産が計画されたものの、実際に供給されたのは約950両で、全てが戦闘に投入されることなく終戦を迎えました。

歴史的背景

アメリカは、1917年4月に第一次世界大戦に参戦した際、戦車を保有していませんでした。連合国の戦車運用に関する調査の結果、軽戦車や重戦車が軍の戦力強化に不可欠であるとの認識が高まり、FT-17の導入が決まりました。最初の調達は1,200両が予定されましたが、最終的には4,440両の供給が計画されました。

しかし、米仏間の単位系の違いや製造の進行が遅れたことにより、M1917の実際の生産開始は1918年秋までずれ込み、休戦日から9日後の11月20日になってようやく2両の本戦車がフランスに送られました。戦後には少数のM1917が生産され、主に歩兵部隊に配備されました。

FT-17との相違点

M1917にはFT-17からいくつかの改良が施されています。例えば、防盾の設計が変更され、主砲の位置が右側に寄るように調整されています。また、誘導輪は鋼鉄製から木製のものに改められ、形状にも若干の違いがあります。さらに、内部構造も改良され、エンジンは42馬力のブダ社製液冷エンジンに変更されました。

運用と実戦未経験

M1917は実戦に投入されることなく、1920年の戦車隊の解散後は歩兵に統合されました。また、1932年にはパットン少佐の指揮下でデモンストレーションに使用されましたが、実際の発砲は行われませんでした。1940年にはカナダ陸軍により訓練用として使用され、250両が購入されました。

派生型と映画での役割

1929年にはM1917A1と呼ばれる改良型が開発され、エンジンの出力が向上しました。しかし、M1917は設計上の限界があり、その後の戦車に比べて運動能力には乏しさがありました。映画においては、第一次世界大戦期の作品などでFT-17の代役として多く使用されました。

M1917戦車は、初の量産戦車としてアメリカ陸軍における装甲戦力の第一歩を示す重要な存在でしたが、戦争には関与せずに歴史の中に名を刻むことになりました。

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