M777 155mm榴弾砲

M777 155mm榴弾砲

M777は、イギリスのBAEシステムズが開発した最新の牽引式榴弾砲で、アメリカ合衆国でも採用されています。この榴弾砲は、1990年代にヴィッカース造船技術会社によって開発がスタートし、2005年には完成。アメリカ軍によって制式名称が与えられました。

開発の背景

開発当初の目的は、軽量で運搬しやすい野戦榴弾砲を作ることでした。BAEシステムズがアメリカのユナイテッド・ディフェンスと連携したことで、M777はその名を広めました。特に、衝撃吸収と反動制御に優れた設計が施されており、運用がしやすいように工夫されています。

性能

M777の性能は、射程や発射速度において特別な優位性は見られませんが、重量の軽さが最大の特徴です。通常のM198榴弾砲に比べて約41%軽量であり、輸送時の機動性が大きく向上しました。このため、M777はUH-60ブラックホークなどの中型ヘリコプターでも運搬可能という点が画期的です。

射程と発射速度

M777は有効射程が24,000メートル、最大射程はERFB弾使用時で30,000メートル、誘導弾を使用すればその距離は40,000メートルに達します。発射速度は最高で5発／分と、任意の状況に応じて柔軟に対応できる能力を持っています。

構造的特長

M777の設計は、一般的な牽引式榴弾砲とは異なり、脚部が短く設計されています。これは軽量化を図りつつ、火力を維持するための工夫です。砲身の重心を低く保つため、チタン合金製の部品を多く用いており、反動を抑えるための駐退機も左右に配置されています。これにより、射撃時の安定性を確保しています。

また、砲脚が短いために牽引時の構造も工夫が必要で、牽引具は砲口部に設けられています。射向の調整にはパノラマ眼鏡と方位磁石による反覘法が採用されています。

運用状況

アメリカ陸軍や海兵隊では、M198榴弾砲からこのM777榴弾砲への更新が進められています。特にアフガニスタンのような山岳地帯でのヘリ空輸が必要な状況では、その軽量性が重宝されています。他にも、カナダやオーストラリアなど多くの国で採用が進んでいます。

2022年には、ロシアのウクライナ侵攻に際して、アメリカやオーストラリア、カナダからウクライナへの供与が行われ、実戦でもその能力が試されています。

まとめ

M777 155mm榴弾砲は、設計段階から実際の運用に至るまで、革新的な特徴を持つ火砲で、多国籍な軍隊で活躍しています。軽量化と機動性を重視したその設計は、今後の野戦榴弾砲のスタンダードとなる可能性があります。

もう一度検索