MH2000 (航空機)

MH2000ヘリコプターの概要

MH2000は三菱重工業が製造した多目的ヘリコプターで、日本で初めて機体とエンジンが純国産の民間用双発ヘリコプターです。MHは「三菱ヘリコプター」の略称で、2000は西暦2000年を指し、「21世紀に羽ばたくヘリ」という意味が込められています。世界的に見ても、完全に自社開発された機体とエンジンは珍しい存在です。

純国産ヘリコプター開発の背景

三菱重工業は民間用ヘリコプターの技術を習得するために、1992年からシコルスキー製のS-76Aを用いて、実験機RP1を開発しました。このプロジェクトでは、ダイナミックコンポーネント技術や低騒音・低振動技術、また安全性を向上させるための技術を重点的に習得することを目指しました。RP1は1994年に初浮揚し、続いて初飛行を果たしました。

開発の過程と飛行試験

RP1によって基本的な技術確認を行った後、1995年には運輸省に型式証明を申請。試作機が1996年に初飛行し、航空局の審査に臨みましたが、内装や居住性に関する問題を指摘されました。1997年に型式証明を取得し、国産ヘリコプターの実現性が示されました。量産型であるMH2000Aの開発が進められました。

販売と顧客層

量産機は防災用途や警察、消防、企業のVIP輸送など多様な顧客に向けて設計され、価格は約4億円でした。1999年には量産1号機が納入され、以降各種業務に使用されましたが、民間向けの販売は順調には行きませんでした。最終的には、総生産数は7機にとどまりました。

現存機とその活用

三菱重工業が保管していた機体/JA003Mは福岡県に引き渡され、博物館で展示されています。また、宇宙航空研究開発機構で使用されていた機体もあいち航空ミュージアムで保存されています。

試作機の事故

残念ながら、2000年には試作1号機が試験飛行中に事故を起こし、機長が亡くなる結果となりました。原因はテールローターのブレード破断に起因するもので、設計の見直しと安全対策が求められました。この事件は、民間航空機の飛行試験中の事故としては戦後初のものでした。

機体の特長と性能

MH2000は旅客輸送に特化した設計を持ち、乗客最大10名を収容可能。内部空間が広く、快適性を追求しており、低騒音化を実現するために工夫がなされています。搭載エンジンは三菱自社製のMG5-110で、電子制御により飛行時の回転数を調整可能です。機体は複合素材を使用せず金属構造で製造され、製造コストの削減が図られています。

主要なスペック

• - 定員: 乗員2、乗客最大8
• - 全長: 14.0m
• - 自重: 2,500kg
• - 最大離陸重量: 4,500kg
• - 燃料積載量: 1,140L
• - 航続距離: 780km

以上のように、MH2000は日本の航空技術の進展に寄与しながら、多岐にわたる用途に応えられる性能を持つ重要なヘリコプターとなりました。

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