MIM-72 (ミサイル)

MIM-72 チャパラルについて

概要

MIM-72 チャパラルは、アメリカ合衆国フィルコ-フォード社が開発した短距離防空ミサイルです。このミサイルは、同社が製造したサイドワインダー空対空ミサイルを基にして設計され、地対空ミサイルとしての高い性能を誇ります。本ミサイルシステム全体の型式名はM48です。

開発の経緯

応急策としての発足

チャパラルは、レッドアイとモーラーという先行するミサイル計画における遅延や問題を受けて開発されました。1962年から1963年までの間に技術的な問題が顕在化し、特にモーラー計画は実現可能性の検証へと移行する事態となりました。1963年6月、陸軍次官補は野戦防空に関する計画の策定を指示し、既存兵器を活用する応急的な方策が求められました。

この調査の一環として、空軍の赤外線誘導型ファルコンや海軍のサイドワインダー1Cを地対空ミサイルとして転用することが検討され、1963年9月には陸軍ミサイルコマンドが研究を依頼しました。追尾性能の試験において両ミサイルは良好な成果を示しましたが、ファルコンに関しては開発が中止され、サイドワインダーがチャパラルとして進められることとなりました。

開発体制と問題

計画の初期段階では、チャパラルはあくまでモーラーの暫定的な応急処置として位置づけられていました。1965年にモーラー計画が終了した後は、一部の要員がチャパラルに転用され、計画の継続性が確保されました。しかし、当初の計画よりも複雑な管理組織が構築されたため、開発には遅延が生じました。特に、チャパラルと高射機関砲との統合が行われたことで、開発の非効率性が浮き彫りになりました。

設計

チャパラルの最初に使用されたXMIM-72Aは、サイドワインダー-ICを基にした地対空ミサイルのモデルです。発射時の空気抵抗の問題を考慮して、設計上の変更が加えられています。具体的には、ローレロン翼においてローレロンを削除し、全てのフェアリングが流線型に整形されています。また、ロケットモーターも最適化され、重量25lbの連続ロッド弾頭を搭載しています。

その後、MIM-72CやMIM-72Eといった新型モデルが開発され、誘導装置や推進装置に改良が図られました。特に、MIM-72Gおよび輸出用のMIM-72Jでは、新型の誘導装置が導入されています。

システム構成

チャパラルは戦場のニーズに応じて改良されてきました。最初は、既存装備を組み合わせて発射機が開発される予定でしたが、技術的な問題から新たなマウントに変更されることになりました。また、発射レールや搭載車両も新しい設計が採用され、精度や効率性の向上が図られています。

運用史

1985年までに、チャパラルは677基が生産され、544基がアメリカ陸軍に配備されました。また、ミサイルは23,109発が製造されるという成果を上げました。これにより、アメリカを含む保有国では有効な防空システムとして運用されています。

採用国一覧

• - アメリカ（アメリカ陸軍）
• - イスラエル（イスラエル国防軍）
• - エクアドル
• - エジプト
• - チリ
• - 台湾
• - チュニジア
• - ポルトガル
• - モロッコ（2024年時点で37基を保有）

MIM-72 チャパラルは、その歴史を通じて様々な軍事活動に寄与してきた防空ミサイルであり、今もなおその防御力を発揮しています。

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