MIND SCREEN

MIND SCREEN (マインド・スクリーン)

浜田省吾の4枚目のアルバム『MIND SCREEN』は、1979年5月21日にリリースされました。このアルバムは、浜田省吾がスランプに苦しみながらも、新たな音楽への道を模索した意欲作として知られています。

背景

『心の中に映る数々のドラマを、ひとつずつ歌にたくして………』というキャッチコピーがつけられたこのアルバムは、制作当時、浜田省吾自身が極度のスランプに陥っていた時期の作品です。楽曲は書けるものの、歌詞が全く書けないという失語症のような状態だったと言われています。締め切りが迫る中、歌詞を書き上げることができず、全10曲中6曲を当時売り出し中だった女性作詞家に依頼するという異例の形となりました。

浜田省吾自身は、このアルバムについて「あまり好きではない」「廃盤にしたい」と語ることがあります。しかし、メロディに関しては自身も認める出来栄えであり、決して無視できない作品です。

CBS・ソニーの担当ディレクターが須藤晃に代わったのもこのアルバムからですが、浜田省吾が楽曲をまともに作れる状態ではなかったため、須藤晃が作詞家の選定に当たることになりました。

本人は「このアルバムで、ステージで素直に歌えるのは自分が書いた詞なんだと分かり、どんなに詞が書けなくても、自分で詞を書く事の大切さを再認識した」と語っており、ミュージシャン・浜田省吾にとってはある種、意義のある作品となりました。

田原俊彦との縁

意外なことに、田原俊彦はこのアルバムを聴いて浜田省吾のファンになったそうです。ある日、浜田省吾がテレビを見ていると、歌番組で田原俊彦が「ダンシング・レディ」を歌っていて驚いたというエピソードがあります。発売当時、アルバムは8000枚ほどしか売れなかったため、田原俊彦は後に行われた対談で浜田省吾に「8000人の中の一人」と言われたそうです。田原俊彦は1985年当時の自身のライブで「いつわりの日々」「今夜はごきげん」「MONEY」を歌ったことがあり、浜田省吾のコンサートにも足を運んだことがあるそうです。

記録

1996年時点での累計売上は220,324枚（アナログ盤・CD・カセットを合わせた総計）を記録しています。

収録曲

子午線
幻想庭園
インディアンサマー
愛を眠らせて
いつわりの日々
ダンシング レディ
朝のシルエット
サイレント ムーヴィー
グッド・ナイト・エンジェル
悪い夢

楽曲解説

子午線: 1990年に千葉美加がシングル「風を感じて」のB面曲としてカバーしました。
愛を眠らせて: アルバムからの先行シングル。和田アキ子に提供した「愛して」（作詞・作曲：浜田省吾）と同じメロディーで、歌詞違いのセルフカバーです。
いつわりの日々: アルバム『Sand Castle』でリメイクされました。
ダンシング レディ: 1983年に大沢逸美がシングル「ダンシング・レディ」の表題曲としてカバーしました。
朝のシルエット: アルバム『Sand Castle』でリメイクされました。
グッド・ナイト・エンジェル: 歌詞違いの未発表部分があります。アルバム『初夏の頃』、シングル「Good Night Angel/Love Train」でリメイクされました。
悪い夢: 当時の浜田省吾の心境をストレートに表した楽曲。自分の置かれた状況を「まるで悪い夢を見てるみたい」だと歌われています。

参加ミュージシャン

Drums：Robert Brill
Bass：岡沢茂
Piano and Keyboards：佐藤準
Guitar：水谷公生
Acoustic Guitar：笛吹利明
Percussion：斉藤ノブ
Saxophone：Jake H.Concepcion
* Backing Vocal：町支寛二

『MIND SCREEN』は、浜田省吾のキャリアにおいて、苦悩と葛藤の中で生まれた重要な作品であり、彼の音楽性を深く理解するための必聴盤と言えるでしょう。

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