MITメディアラボ

MITメディアラボについて

MITメディアラボは、米国マサチューセッツ工科大学（MIT）内の建築・計画スクールに位置する研究機関で、デジタル技術の教育と研究に専念しています。このラボは1985年にニコラス・ネグロポンテ教授と元大学学長のジェローム・ウィーズナーの手によって設立され、世界的に著名な建築家イオ・ミン・ペイによってデザインされたWiesner Buildingにて運営されています。

所長と運営体制

2020年12月22日、元NASA副長官デイヴァ・ニューマン教授が新たな所長に就任し、2021年から職務を開始しました。それ以前は、伊藤穰一元教授が所長を務めていました。ラボには約70名の運営管理スタッフと支援スタッフが所属しており、副所長に石井裕教授とAndrew Lippman教授が任命されています。

研究の特徴

メディアラボでの研究は、通常の学問分野の枠を超えた学際的なアプローチを採用しています。ここでは、デジタル技術の新しい応用や革新的な統合方法に焦点を当て、多くのプロジェクトはアート的な性質を持っています。仕切りのないオープンスペースを利用して複数の研究グループが協力し、定期的に交流する機会を設けることで、コラボレーションの促進に力を入れています。

研究グループの多くは「人間とコンピュータの協調」に関するテーマに取り組んでおり、従来のユーザインターフェース設計に限定せず、幅広い視点から技術の研究を進めています。特定のグループでは、環境を認識しユーザーの意図や感情を予測できる機械の開発を目指して、装置を身の回りのものに取り付ける研究も行われています。このようなプロジェクトには、テッド・セルカー教授による電子投票機やハイブリッド検索エンジンの研究が含まれます。

また、メディアラボでは教育活動にコンピュータを活かす研究も進めており、学習ソフトや楽しい玩具であるPicoCricketのような製品も含まれています。多くのチームがアートとエンジニアリングを融合させたプロジェクトに取り組み、新たなツールやメディア、楽器といった芸術形態の開発にも挑戦しています。

最新の技術開発と国際的取り組み

さらに、メディアラボはコンピュータの物理的な側面についての研究も行い、量子コンピューティングを含む様々な技術の応用を探求しています。ラボの設立当初からの目標の一つである発展途上国向けの技術開発には、低価格のコンピュータなどが取り入れられています。古典的な人工知能のプロジェクトにも従事しているグループがあり、常に新たな領域に挑戦し続けています。特に日本人研究者の石井裕教授は、タンジブル・ビットという概念を提案し、メディアラボでの研究を進めてきました。さらに、Sputniko!といった日本人アーティストがデザイン・フィクションに関する研究を展開しています。

財源の仕組み

MITメディアラボの主な資金源は企業スポンサーによるもので、驚くべきことにほぼ全てが産業界からの支援によって賄われています。各プロジェクトやグループごとの個別の財源ではなく、ラボ全体のテーマに基づく支援が求められ、スポンサー企業は自由度の高い方法でラボの研究との連携が可能です。この仕組みは、企業とラボの間に新しい形の協力関係を生み出しています。

新しい施設

2009年、MITメディアラボは著名な建築家槇文彦によって設計された新しいビルへ移転しました。新しい建物と以前のWiesnerビルは、メディアラボだけでなく、MIT内の他のプログラムやセンターとも融合される形で使用されています。これにより、教育・研究の環境がさらに整備され、さまざまな学際的活動が促進されています。

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