MMT 天文台

MMT天文台：進化を続ける巨大望遠鏡

アリゾナ州ツーソン南部のホプキンス山に位置するMMT天文台（フレッド・ローレンス・ホイップル天文台、IAU天文台コード696）は、アリゾナ大学とスミソニアン協会によって共同運営されている天文観測施設です。

MMT天文台の望遠鏡は、その歴史において大きな変貌を遂げてきました。当初は「マルチミラー望遠鏡 (Multiple Mirror Telescope)」と呼ばれ、口径1.8メートルの反射鏡6枚を組み合わせた革新的な構造を有していました。これは、反射鏡の重量と製造コストの削減に貢献する画期的な試みでしたが、当時の技術では光軸の調整に課題があり、解像度にも限界がありました。このマルチミラー望遠鏡は1998年まで運用されました。

その後、ハニカム構造を用いた大型鏡の製造技術が発展したことを受け、MMT天文台は2000年に大幅な改修を行いました。6枚の小さな反射鏡を統合していた従来の構造から、口径6.5メートルという巨大な単一鏡へと生まれ変わったのです。この改修によって「MMT」という名称に改名され、観測能力は飛躍的に向上しました。なお、マルチミラー望遠鏡時代の架台などは再利用されています。

さらなる性能向上を目指し、2002年には副鏡が可変形鏡に換装されました。これにより、大気ゆらぎの影響を補正する補償光学技術に対応できるようになり、より鮮明な観測が可能となりました。

MMT望遠鏡の主鏡は、軽量化のためにハニカム構造を採用しています。また、MMT天文台は従来の天文台とは異なる特徴的なドーム構造を持ちます。このドームは、望遠鏡と一体となって移動する設計となっており、望遠鏡の冷却時間を大幅に短縮できます。その結果、シーイング（大気の影響による星像の揺らぎ）の改善に繋がり、高精度の観測を実現しています。

MMT天文台の建設は1968年から計画され、1979年に稼働を開始しました。以来、技術革新を積極的に取り入れながら、宇宙の謎を解き明かすための観測を続けています。アリゾナ州アマドにはビジターセンターがあり、一般の人々にも天文台への理解を深める機会を提供しています。

MMT天文台は、その歴史と技術革新によって、世界の大規模反射望遠鏡の中でも重要な役割を担っています。今後も、宇宙研究における重要な拠点として、さらなる発展が期待されます。

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