MONSTERS IN TOWN

アルバム『MONSTERS IN TOWN』の魅力

吉田美奈子の通算8作目となるスタジオ・アルバム『MONSTERS IN TOWN』は、1981年11月21日に発表されました。このアルバムは、吉田が出演した日立マクセルのカセット・テープのCMでも使用されたシングル曲「BLACK EYE LADY」を特徴としており、当時の音楽シーンに強烈な印象を残しました。

レコーディングメンバーとその影響

本作は、前作『MONOCHROME』に参加したメンバーに加え、富樫春生と土方隆行が新たに加わった編成で録音されました。さらに、6人編成のホーン・セクションとストリングスが加わることで、サウンドが一層豊かになり、アルバム全体に深みを与えています。この時期、吉田美奈子は「ファンクの女王」として知られ、彼女の音楽スタイルは急速に進化しました。彼女自身もその頃の自分について振り返りながら、当時の音声表現について語っており、高い声での歌唱やライヴ活動の楽しさを懐かしんでいます。

サウンドプロデューサーとしての側面

このアルバムでは、吉田美奈子の役割がシンガーやソングライターからサウンド・プロデューサーへと変化している点が特徴的です。彼女はバック・トラックのアレンジに力を入れ、演奏の緻密さが増しています。このことにより、ボーカルの存在感は以前よりも控えめとなり、一人多重録音によるコーラスが楽曲に重要な役割を果たすようになっています。

アルバムには、緻密に構築されたグルーヴが随所に散りばめられており、バンド全体の演奏と一体感を大切にしている意図が見受けられます。この方向性は、吉田がその後、他アーティストのプロデュースへとシフトしていくきっかけとなり、そのスタイルがより明確になった時期の作品となっています。

収録曲

アルバムには以下のような楽曲が収められています。

Side 1

1. TOWN
2. LOVING YOU
3. NIGHTS IN HER EYES
4. BLACK EYE LADY

Side 2

5. MONSTER STOMP
6. KNOCK KNOCK
7. 窓 (Moment of Twilight)
8. つかの間の時へ (Back In Town)

これらの楽曲はすべて、吉田美奈子の作詞・作曲によるもので、彼女の音楽的な幅広さを感じさせます。

リリースとリマスタリング

2015年には、レコーディングを手掛けたミキサーの吉田保が、自身がリマスタリングを行ったシリーズの一環として、『MONSTERS IN TOWN』をBlu-spec CD2フォーマットでリイシューしました。このリリースにより、新たな音質で再評価される機会となり、吉田美奈子の音楽の魅力がさらに広がっています。

このアルバムは、彼女のキャリアにおける重要なマイルストーンであり、音楽シーンにおいてその存在感を確立する一助となりました。

もう一度検索