MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝

『MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝』の概要

『MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝』は、漫画家高橋昌也の原作に近藤和久が作画を担当した作品で、1984年11月号から1985年2月号まで「コミックボンボン」で連載されました。この作品は、ガンダムシリーズとして初のオリジナル漫画であり、登場する一年戦争の物語をジオン公国軍の一少年兵士の視点から描いています。

この作品は、連載中のテレビアニメ『機動戦士ガンダム』で描かれた内容とは異なり、戦争の過酷さや悲惨さを独自の視点でリアルに表現しています。アニメ版ではほとんど登場しなかった人物も多く、特にガンダムとの遭遇を経て絶体絶命な状況に追い込まれる様子が描写されています。連載中、テレビシリーズの『機動戦士Ζガンダム』の放送が決まったことから、近藤がこのシリーズのコミカライズを手掛けることになり、本作はジャブローでの戦闘直後に終了しました。

メカニックの魅力

作中では、特に細部にわたって緻密に描かれたザクII（通称：近藤版ザク）などのメカニック描写が、多くの読者やモデラーの関心を引きました。1985年春には、バンダイからの商品の企画もされましたが、実現には至らず、後に登場した改造パーツで近藤版ザクが形作られることとなります。近藤のデザインスタイルは、「コンドウディテール」と呼ばれ、後のガンダム作品のメカニックデザインに大きな影響を与えたことでも知られています。

登場人物たち

物語の主人公フレデリック・ブラウンは、幼少期は落ちこぼれでしたが、努力の末にジオン軍に入隊。同部隊で数々の厳しい戦闘を経験し成長していきます。彼の物語は、オデッサ防衛戦の後、ア・バオア・クーでの激しい戦闘へと続きます。彼は仲間たちとの出会いや別れを通じて、戦士としての成長を遂げる一方で、人間としての感受性も強く光ります。

ブラウンの上官、ハウンズマン曹長は、部下のブラウンを温かく指導しつつも厳しい一面を持つキャラクターです。彼はジャブロー攻略戦でブラウンを庇い戦死することになりますが、その教えはブラウンに深く刻まれました。

また、バルク大尉、中隊を率いるナウマン、モーデル、そして部隊の指揮官ゲイツなども登場し、物語全体に深みを加えています。彼らはそれぞれ特色ある性格や運命を背負い、ブラウンとの関わりの中で固い絆を築いていきます。

戦争を通しての成長

この物語には、戦争の残酷さや無情さが深く描かれており、少年兵士たちが直面する過酷な現実は、戦争がもたらす悲劇を強調しています。ブラウンは仲間の裏切りや命をかけた相互の信頼の中で、常に生き残る術を模索し続けました。彼にとって戦争は単なる戦闘ではなく、人間の成長や関係を深めていく過程そのものでした。

『MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝』は、ただの戦記物語ではなく、キャラクターの成長と戦争というテーマを深く掘り下げている作品となっています。非常に多面的なキャラクターや緻密な描写は、今なお多くのファンに愛され続けており、関連作品や今後のガンダムシリーズにも影響を与えています。

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