MT-110ロケット

MT-110ロケットの概要

MT-110ロケットは、現宇宙航空研究開発機構の宇宙科学研究所が国立極地研究所と協力して開発した観測ロケットです。このロケットは、中層大気国際協同観測（MAP）の一環として、南極大陸の上空における中層大気の内部重力波を観測することを目的にしています。具体的に言うと、このロケットは第26次南極観測隊（JARE-26）の活動の一環として位置づけられました。

開発背景

MT-110は、より大きいMT-135ロケットに比べて小型化されており、扱いやすさを重視して設計されました。強力でありながらも操作が簡単なロケットを目指し、開発チームはその性能を最大限引き出すべく努力を重ねました。しかし、実際の飛翔試験での結果は期待されたものとは異なりました。特に、尾翼部分が生じる空気抵抗が予想以上に大きく、結果として高度性能が必要とされる基準を大きく下回ってしまったのです。

課題と改善努力

試験飛行の結果、MT-110ロケットは高度性能において要求された基準に達しませんでした。これを改善するためには数多くの課題があり、開発期間もわずかしか残っていなかったため、さらなる改良は実施されませんでした。実際、MT-110は1984年に2機が飛翔しており、2号機には1号機の試験結果を反映した改良が施されています。このようにして、問題点の解決に努めたものの、最終的な成果には限界がありました。

代替ロケットの採用

MT-110の開発課題に対応すべく、代替ロケットとして複数の選択肢が考えられました。S-160JA、S-210JA、S-310JAなど、これまでも南極仕様として改良が施されたロケットの中から発展したMT-135JAが最終的に選択肢として採用されることとなりました。MT-135JAは、MT-135の改良版として南極の厳しい環境でも活動できるよう設計されています。

飛翔実績とその後

MT-110ロケットは南極観測の重要な一端を担ったものの、その運用は限られたものとなり、結果的には代替案が果たす役割が大きくなりました。これにより、南極における大気観測活動は新たなロケットによって支えられることとなります。

関連項目

• - 国立極地研究所
• - IX計画
• - 宇宙科学研究所
• - MT-135ロケット
• - S-160ロケット
• - S-210ロケット
• - S-310ロケット

さらに詳しい情報は、南極資料や関連する文献をご参照ください。

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