MascotCapsule

MascotCapsuleは、株式会社エイチアイが開発した組み込み機器向けの3Dレンダリングエンジンです。このエンジンは、特にリソースが限られた環境での動作を想定して設計されており、FPU（浮動小数点演算ユニット）を必要とせず、使用するメモリ量も少ないのが特徴です。

そのため、携帯電話やその他の組み込み機器など、処理能力やメモリ容量に制約のあるデバイスに最適です。実際、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルといった国内主要キャリアの携帯電話端末をはじめ、モトローラ、ソニー・エリクソン、サムスン電子など、海外の携帯電話端末にも幅広く採用されています。2010年3月末時点で、搭載された機器の累計出荷台数は6億台を超えています。

MascotCapsuleには、以下のバージョンが存在します。

MascotCapsule V1～V4
MascotCapsule nano
MascotCapsule eruption
MascotCapsule Renderion

2010年10月には、立体視に対応した「MascotCapsule eruptionST」が新たにリリースされました。

特徴

MascotCapsuleは、携帯電話、携帯ゲーム機、PDAなどの小型デバイスで3Dグラフィックスを表示するためのネイティブソフトウェアライブラリです。市販の3Dツールで作成したデータを専用フォーマットに変換し、それらのデータを使用して表示を行います。また、プリミティブなデータを直接指定して表示することも可能です。

MascotCapsule V4は、OpenGL ESに対応しており、3Dアクセラレータチップとの連携が可能です。これにより、より高度なグラフィック処理が実現できます。インターフェースは国際標準規格であるM3G 1.0/1.1（JSR184）にも対応しています。

MascotCapsule eruptionは、表現力の向上と開発効率の向上を両立させることを目指して開発されたリアルタイム3D描画エンジンです。OpenGL ESに対応しており、3Dアクセラレータチップとの連携により、よりリッチな3D表現が可能です。

動作環境

MascotCapsuleのライブラリサイズは、V3でおよそ100KB、V4/eruptionでおよそ200KBと非常にコンパクトです。ヒープ領域としては、コンテンツに依存しますが、800KBから1MB程度が標準的です。

動作環境としては、V3ではARM7（100MHz）相当以上のCPU、V4/eruptionではARM9（100MHz）相当以上のパフォーマンスを持つCPUが推奨されています。これらのスペックはあくまで目安であり、実際の動作環境はデバイスやコンテンツに依存します。

まとめ

MascotCapsuleは、組み込み機器における3Dグラフィックス表示のデファクトスタンダードとして、多くのデバイスに採用されてきました。そのコンパクトさと高性能さは、リソースが限られた環境での3D表現を可能にし、モバイルゲームやその他のアプリケーションの発展に大きく貢献しています。

外部リンク

株式会社エイチアイ
MascotCapsule Developer Network -「MascotCapsule」の総合情報サイト

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