Merry Merry

中山美穂『Merry Merry』：温もり溢れるクリスマスアルバム

1989年、シンガーソングライターとしても活動していた中山美穂が発表した10枚目のアルバム『Merry Merry』は、クリスマスをテーマにした、温かみのある作品です。プレゼントを思わせるような、可愛らしいジャケットデザインも魅力の一つです。

アルバム全体を彩るのは、クリスマスソングのカヴァー曲と、中山美穂本人が作詞作曲を手掛けたオリジナル曲。さらに、インストゥルメンタル曲も収録されており、多彩な音楽性が聴きどころとなっています。全8曲中5曲がクリスマスのスタンダードナンバーのカヴァーで、懐かしいメロディーがクリスマスのムードを盛り上げます。

オリジナル曲は、当時「北山瑞穂」というペンネームを使用していた、中山美穂自身の楽曲です。彼女の作詞作曲能力が光る、繊細で心に響く歌詞とメロディーが、クリスマスの静寂と喜びを表現しています。

特に注目すべきは、アルバム『Mind Game』に収録されていた「Long Distance To The Heaven」のインストゥルメンタルバージョンが収録されている点です。原曲とは異なる魅力を持つこのアレンジは、新たな一面を垣間見せてくれます。

アルバムには、歌詞に合わせたショートストーリーが書かれたブックレットが同梱されており、音楽を聴きながら物語の世界観に浸ることができます。このブックレットは、音楽を単なる音の羅列としてではなく、一つの物語として楽しむための工夫と言えるでしょう。

編曲は、全曲を通して大谷和夫氏が担当。大谷氏による洗練されたアレンジは、楽曲の魅力を最大限に引き出し、聴く者を心地よい世界へと誘います。

そして、2015年には、リマスタリングされた廉価盤が発売されました。これは、中山美穂の30周年を記念したアルバムコレクションの一環としてリリースされたもので、オリジナル版のブックレット内容は歌詞ブックレットと合本されています。

『Merry Merry』は、クリスマスソングのカヴァーだけでなく、オリジナル曲、インストゥルメンタル曲、そしてショートストーリーと、様々な要素が組み合わさり、聴き応えのある作品となっています。クリスマスの時期はもちろん、一年を通して何度でも聴きたくなる、そんな温もりと感動に満ちたアルバムです。クリスマスの定番として、長く愛される理由が、このアルバムを聴けばよく分かります。

収録曲

Some Day At Christmas (作詞・作曲: Ron Miller・Bryan Wells、編曲: Kazuo Otani)
White Christmas (作詞・作曲: Irving Berlin、編曲: Kazuo Otani)
Without You (作詞・作曲: Mizuho Kitayama、編曲: Kazuo Otani)
I Saw Mommy Kissing Santa Claus (作詞・作曲: Tommie Conner、編曲: Kazuo Otani)
Say Love Me (作詞・作曲: Mizuho Kitayama、編曲: Kazuo Otani)
Have Yourself A Merry Little Christmas (作詞・作曲: Hugh Martin・Ralph Blane、編曲: Kazuo Otani)
Silent Night, Holy Night (作詞・作曲: Franz Gruber、編曲: Kazuo Otani)
Long Distance To The Heaven (作曲: Mizuho Kitayama、編曲: Kazuo Otani)

再発盤

2015年10月14日には、CD廉価盤がKICS-3270としてリリースされました。これは、中山美穂のデビュー30周年を記念した「30th Anniversary Original Album Collection」の一環で、過去にリリースされた25枚のアルバムが同時に再発売されました。

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