MetaCyc

MetaCycは、実験的に確認された代謝経路に関する膨大な情報を集積したデータベースです。その特徴は、単に代謝経路を列挙するだけでなく、酵素に関する詳細なデータを提供している点にあります。具体的には、酵素のサブユニット構造、補因子、アクチベーターとインヒビター、基質特異性、さらには速度定数などの情報が含まれています。これらの情報は、代謝反応のメカニズムを理解する上で非常に重要です。また、各データには文献情報が付随しており、情報の信頼性を確認することができます。

MetaCycは、ゲノム配列から生物の代謝経路を予測するための参照データセットとしても活用されています。ゲノム情報に基づいて代謝経路を予測する際には、MetaCycに収録されている実験的に確認された代謝経路が、予測の精度を高めるための重要な基準となります。実際に、BioCyc database collectionに収録されているものを含め、数千もの生物の代謝経路予測にMetaCycが利用されています。これは、MetaCycが代謝経路予測において、非常に重要な役割を果たしていることを示しています。

MetaCycは、生命科学の研究者にとって、代謝研究を進める上で不可欠なツールと言えるでしょう。代謝経路の網羅的な情報、酵素の詳細なデータ、そして文献情報が統合されたMetaCycは、代謝研究における様々な課題の解決に貢献します。例えば、未知の代謝経路の探索、特定の酵素の機能解析、代謝経路の制御機構の解明など、幅広い研究テーマに活用することができます。また、MetaCycは定期的に更新されており、最新の研究成果が反映されています。そのため、常に最新の情報を利用することができます。

MetaCycの利用は、代謝研究の効率化にも繋がります。従来は、文献調査や実験によって個別に収集する必要があった情報を、MetaCycを利用することで一元的に入手することができます。これにより、研究者は実験計画の立案やデータ解析に集中することができ、研究のスピードアップに貢献します。

MetaCycは、代謝研究の進展に不可欠なデータベースであり、今後もその重要性は増していくと考えられます。

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