MiG-5 (航空機)

MiG-5（ミグ5）についての詳細

MiG-5（ミグ5）、ロシア語ではМиГ-5として知られるこの航空機は、ソ連のミコヤン・グレヴィッチ設計局によって試作されたレシプロ双発護衛戦闘機であり、またその別名はDIS-200です。さらに言えば、DIS-200は「Дальний Истребитель Сопровождения」つまり「長距離護衛戦闘機」を意味するコードネームでもある。この機体の開発には、1940年8月のソ連空軍からの要請があった。

開発の背景

ソ連空軍は、Pe-8という長距離爆撃機の護衛を目的とした戦闘機の開発を依頼しました。この要求に応じて、ミコヤン・グレヴィッチ設計局はDIS-200の設計案を提示しました。当初、空軍はこの機体が護衛戦闘機としてだけでなく、爆撃、雷撃、そして偵察に対応できる多用途機としても使われることを望んでおり、その結果、設計局は軽爆撃機バージョンの開発も進めることとなりました。

1941年の初めには、MiG-5という名称が付けられ、試作機の初飛行は同年5月15日に行われた。しかし、試験の結果、速度性能が期待を大幅に下回る結果となり、その後のドイツ侵攻により生産機種の選定が厳しくなったため、MiG-5は不採用となる運命を辿ります。

不運な運命

設計局は、エンジンの不調を受けてAM-37エンジンからM-82エンジンに換装した2号機を開発しましたが、工場の疎開による製作の遅れなどが影響し、完成は1942年までずれ込みました。この時期、ソ連軍は前線における戦闘に追われており、Pe-8を用いた戦略的な爆撃などは到底実行できる状況ではありませんでした。そのため、長距離護衛戦闘機自体の必要性は大きく低下しました。また、軽爆撃機型についても、既にPe-2の量産体制が整えられており、MiG-5の性能が優れていても、既存の機種を切り替えることは現実的ではありませんでした。その結果、MiG-5は存在意義を失い、試作2号機は初飛行を果たしたものの、中止に追い込まれました。

MiG-5の技術仕様

この航空機の技術的なスペックとしては、以下の要素があります。

• - 全長: 10.87m
• - 全幅: 15.10m
• - 全高: 3.40m
• - 翼面積: 38.90m²
• - 空虚重量: 5,446kg
• - 最大離陸重量: 8,000kg
• - 最大速度: 610km/h
• - エンジン: ミクーリンAM-37液冷V型12気筒エンジン（出力1400hp） 2基
• - 航続距離: 2,280km
• - 実用上昇限度: 10,900m
• - 最大爆弾搭載量: 1000kg
• - 武装: 23mm VYa-23機関砲 1門、12.7mm BS機関銃 2挺、7.62mm ShKAS機関銃 4挺
• - 乗員: 1名

戦時中の混乱や戦略の変化、技術的な問題が重なり、MiG-5はその使命を全うすることなく歴史の中に消えていった。しかし、その設計の過程や技術は、後の航空機開発に少なからず影響を与えたと考えられています。

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