Michael Learns to Rock

デンマークが生んだソフトロックバンド、Michael Learns to Rock（マイケル・ラーンズ・トゥ・ロック）、通称MLTRは、耳に残る美しいメロディと、ヴォーカルのヤーシャ・リヒターによる情感豊かな歌声で知られ、世界中の音楽ファンを魅了し続けています。

1988年の結成以来、彼らの奏でる普遍的なサウンドは国境を越えて愛され、特にアジア圏では絶大な人気を誇ります。これまでに累計1,200万枚以上という驚異的なセールスを記録しており、ヨーロッパ、東南アジア、南アフリカなど、メロディ重視の音楽が評価される地域を中心に圧倒的な支持を獲得しています。

バンドの結成は、1987年にデンマークの都市オーフスの高校で始まりました。当時、ヴォーカル兼キーボード奏者だったヤーシャ・リヒターとドラマーのコー・ワンシャーは、既に「The Rocking Studs」というバンドで活動していたギタリスト、ソレン・マッセンを仲間に迎え入れ、新たなグループを結成します。

翌1988年5月に地元オーフスで公式デビューを果たした後、彼らは地元のタレントショーに応募し、見事優勝を手にするという幸運に恵まれます。この勝利がきっかけとなり、バンドは急遽、正式な名称を決定する必要に迫られました。

バンド名「Michael Learns to Rock」の由来について、ヤーシャ・リヒターは後にインタビューで、当時の世界的スーパースター、マイケル・ジャクソンにちなんだものであることを認めています。「ジョニー・ヘイツ・ジャズやフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのような、当時の流行に乗ったノリで付けた」と語る一方で、「正直、何度も後悔した」とも述べていますが、予想を上回る速さでバンドが成功したため、名前を変更する機会を逸し、結果的に「時間の経過とともに慣れていった」と振り返っています。

バンドは長らくヤーシャ、コー、ソレンのトリオ編成で活動を続けていましたが、2006年にギタリストのソレン・マッセンが脱退します。以降、Michael Learns to Rockはヤーシャ・リヒターとコー・ワンシャーの2人を核とした体制で活動を継続しています。

Michael Learns to Rockの人気は、とりわけアジアにおいて顕著です。シンガポールやインドネシアをはじめとする多くの国々で高い支持を得ており、アジアのみでシングルヒットを記録した楽曲も多数存在します。代表的な楽曲の一つである「25 Minutes」は、シンガポールで1994年度のベストパフォーマンス賞を受賞するなど、彼らの人気ぶりを示すエピソードは枚挙にいとまがありません。

日本におけるMichael Learns to Rockの紹介は、彼らにとって3枚目のアルバムとなる『Played On Pepper』が契機となりました。名古屋のラジオ局ZIP-FMによる強力なプッシュが火付け役となり、人気は名古屋から全国へと波及します。この結果、HMVなどの主要CDショップチェーンでは、発売からわずか1週間で1万枚という洋楽としては異例の好セールスを記録しました。この成功を受けて、バンドは1996年に初来日を果たし、東京（池袋アムラックスホール）と名古屋で単独ライブを開催し、日本のファンを熱狂させました。

バンド活動と並行して、ヴォーカルのヤーシャ・リヒターはソロアーティストとしても活動しており、これまでに2枚のソロアルバムをリリースしています。

また、Michael Learns to Rockは国際的な大舞台にも度々招かれています。1997年7月に開催された香港返還記念コンサートでは、バンドとしてトリを務め、歴史的な瞬間に音楽を添えました。さらに、2007年に上海で開催されたスペシャルオリンピックス夏季世界大会では、アジアでの高い人気を背景に、ヤーシャが閉会式のステージでヴォーカルを担当し、感動的なパフォーマンスを披露しました。

Michael Learns to Rockの作り出す、心に優しく響くメロディと普遍的な歌詞は、世代を超えて多くの人々に愛され続けており、ソフトロックシーンにおいて確固たる存在感を示しています。

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