Micromort

マイクロモートとは

マイクロモート（micromort）とは、100万分の1の確率で死に至るリスクを表す単位です。この概念は、現代的な意思決定分析の先駆者であるロナルド・A・ハワードによって提唱されました。

マイクロモートは、ある出来事が100万分の1の確率で発生することを意味する「マイクロプロバビリティ」を、死亡という事象に適用したものです。つまり、マイクロモートは「死」という結果に対するマイクロプロバビリティと言えます。

マイクロモートの価値

マイクロモートは、人間にとってのリスク評価に応用されています。例えば、人が100万分の1の死亡確率を受け入れる際に要求する金額、または、100万分の1の死亡確率を回避するために支払っても良いと考える金額から、マイクロモートの価値を推測できます。研究によると、1マイクロモートの価値は、約50USドルとされています（2009年時点）。これは、日常的な活動における安全対策に人々が費やす金額などから推測されたものです。

ベースラインとしてのマイクロモート

1日の平均死亡率は、平均寿命から算出できます。例えば、平均寿命が70歳の場合、1日の死亡率は約1/25,500となります。マイクロモートは100万分の1の死亡確率なので、この場合、1日あたり約39マイクロモートとなります。24時間で割ると、1時間あたり約1.63マイクロモートとなります。これは、平均寿命が70歳の場合の、年齢や性別を問わない平均死亡率です。

別の算出方法としては、1日の死亡者数を使う方法があります。例えば、イギリスでは毎日約2500人が亡くなっています。これを人口（約6000万人）で割ると、約41.6マイクロモートとなります。これは、全人口に対する全死亡率です。この値から自然死によるものを除くと、約1マイクロモートとなり、これは不慮の死のリスクを示す値と解釈できます。イギリスでは、毎日約50人が人為的な原因で亡くなっています。

日常生活におけるリスクの例

以下に、死亡率を1マイクロモート増加させる可能性のある行動と、それに関連する死因の例を示します。

タバコ1.4本分の喫煙（がん、心臓病）
ワイン0.5リットルの飲酒（肝硬変）
炭鉱で1時間過ごす（塵肺）
炭鉱で3時間過ごす（事故）
ニューヨークまたはボストンで2日間過ごす（大気汚染）
デンバーで2ヶ月間過ごす（宇宙放射線によるがん）
喫煙者と2ヶ月間過ごす（がん、心臓病）
マイアミの水を1年間飲む（クロロホルムによるがん）
ジェット機で1609km飛行する（事故）
ジェット機で9656km飛行する（宇宙線によるがん）
10mremの胸部X線検査を受ける（放射線によるがん）

一度の行動で生じる死亡率

以下の行動は、一度の実施によって生じるマイクロモートの値です。

ハンググライダー：8マイクロモート/飛行
スキューバダイビング：4.72マイクロモート/ダイブ
スカイダイビング（米国）：7マイクロモート/ジャンプ

参考文献

Ronald A. Howard (1984). “On Fates Comparable to Death”. Management Science 30 (4): 407–422. doi:10.1287/mnsc.30.4.407.
Center for the Study and Improvement of Regulation. “What is a MicroMort?”. 2013年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月9日閲覧。

関連項目

* 決定理論

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