Microsoft Dynamics NAV(旧称Navision)は、経営資源計画(ERP)ソフトウェアの一つであり、
マイクロソフト社が開発・提供している製品です。このシステムは、財務管理や販売管理、仕入管理、倉庫管理、生産管理、サービス管理、さらにはリソース管理機能も備えており、小規模から中堅企業、さらには大企業の子会社の管理にも対応しています。
Microsoft Dynamics NAVは、特に全世界で16万以上の企業に導入されており、2023年の時点で270万人が利用しています。
特徴と機能
Microsoft Dynamics NAVには多様な機能が搭載されているため、企業における業務効率の向上が期待できます。特に、
マイクロソフト製品であるため、OfficeやOutlookなどとの連携が容易な点も大きな魅力です。また、IFRS(国際財務報告基準)にも対応しています。一般的には、従業員数が5人から500人程度の企業に適したソリューションとされています。
歴史
この製品の起源は
1984年まで遡り、
デンマークのNavision Software A/Sによって開発されました。
2000年にNavisionはAxaptaを持つDamgaard A/Sと合併し、Navision A/Sに改名されました。
2002年には
マイクロソフトがNavision A/Sを買収し、Microsoft Business Solutions事業部を設立、ERPとCRMの販売を開始しました。
2005年9月からは、この製品は
Microsoft Dynamics NAVとして新たにブランド化され、改良とともに現在に至ります。最新バージョンは
2012年に発表された
Microsoft Dynamics NAV 2013です。
主なモジュール
Microsoft Dynamics NAVは、以下のような主要なモジュールを含んでいます:
- - 財務管理:このモジュールは、総勘定元帳や売掛金・買掛金管理、固定資産管理など、企業の財務情報を効率的に管理できます。
- - マーケティング管理(CRM):Outlookとの連携により、営業およびマーケティング活動を支援します。
- - 販売/仕入管理:受発注業務に関する多様な機能を提供し、効率化を図ります。
- - 在庫/倉庫管理:在庫管理活動をサポートし、入出庫の管理を円滑にします。
- - 生産管理:生産計画の立案や管理を行うための基本機能を備えています。
- - サービス管理:シリアル番号による機器の追跡や保守契約管理が行える機能があります。
- - リソース/プロジェクト管理:プロジェクト活動に必要な原価計算を支援します。
- - 従業員管理:社員の勤怠、資格情報などを一元管理します。
- - システム管理:ユーザー権限の設定やアプリケーションの管理が可能です。
- - 多言語・多通貨対応:126言語と無制限の通貨に対応し、業種別のソリューションを提供しています。
競合製品
Microsoft Dynamics NAVの主な競合に、SAP社のERP製品群(「SAP S/4HANA」、「SAP Business All-in-One」、「SAP Business ByDesign」など)や、Oracle社の「Oracle E-Business Suite」、また日本のワークスアプリケーションズの「COMPANY」などがあります。
関連リンク
Microsoft Dynamics NAVは、特に企業の経営資源を最適に活用するために設計された、強力かつ柔軟なツールです。この製品によって、企業はより効率的な業務運営を実現することが可能となります。