Mk.32 魚雷発射管
Mk.32
魚雷発射管(Mark 32 Surface Vessel Torpedo Tubes, SVTT)は、
アメリカ海軍が開発した水上艦向けの
魚雷発射装置であり、324mmの
口径でMk.46、Mk.50、Mk.54などの短
魚雷を発射することができます。
アメリカ海軍だけでなく、日本の
海上自衛隊を始めとする
西側諸国の
海軍にも広く採用されており、近距離型の
対潜兵器として
デファクトスタンダードとなっています。
開発の経緯
第二次世界大戦後、
アメリカ海軍は新世代の
対潜兵器の必要性から、アクティブ音響ホーミング式の誘導
魚雷の開発に着手しました。この際、水上艦用のMk.32が
1940年代中盤から整備され、
1950年には航空
魚雷式のMk.43も導入されていました。しかし、当時の
魚雷は低速かつ信頼性に欠ける問題があったため、新たな短
魚雷の開発が進められました。その結果として開発されたのがMk.44で、Mk.32はこれを発射するために設計された伝統的な
魚雷発射管です。
構成と特性
Mk.32は、主に3本の発射管、旋回装置、発射装置、伝達装置等から成ります(Mod.9は固定式・連装)。Mod.5の時点では、空虚重量は約1,010kgで、Mk.46
魚雷を装填した場合は約1,703kg、Mk.50
魚雷を載せた時には約2,020kgとなります。また、日本の68式発射管は総重量約1,275kgです。
3連装の発射管は、ほとんどのモデルでは人力で操作され、一定の旋回角度(右連管0~190度、左連管360~170度)で旋回することができます。内部には発射時のロック機構が備え付けられており、安全性が確保されています。発射は空気圧によって行われ、発射圧力は70~140 kgf/cm²(6.9〜13.7 MPa)で、発射角度に対するスピードは13
メートル毎秒以上が求められています。
モデルのバリエーション
Mk.32には多くのバリエーションがありました。例えば、Mod.2は訓練用として管体形状を再設計し、Mod.5およびMod.6は特定の水中攻撃指揮装置に対応したバージョンです。これらはすべて、改良や機能追加が施され続け、最新の技術に適応しています。Mod.15は完全
遠隔操作が可能であるため、オペレーターの負担を軽減できる設計になっています。
運用と搭載艦
Mk.32発射管は、
アメリカ海軍の近代艦艇において積極的に運用されています。また、
イギリスや
イタリアにも派生型として採用されており、例えば、STWS(短
魚雷発射装置)やB.515がMk.32をベースにしています。日本では、68式
魚雷発射管がポジションを占めており、アメリカからの技術移転により国内生産が行われています。
映画や文献における登場
この
魚雷発射管は、フィクションの作品でも頻繁に取り上げられています。映画『
ザ・ラストシップ』や『バトルシップ』では、Md.32発射管が活用され、アニメや小説の中でもその存在感が示されています。特に『ジパング』や『
名探偵コナン 絶海の探偵』などの作品では、架空の艦船がMk.32を搭載しているシナリオが描かれています。
まとめ
Mk.32
魚雷発射管は、数十年にわたって進化を続ける実績ある海上
対潜兵器です。その広範な採用と、各国でのバリエーション展開によって、今後も重要な役割を果たし続けることでしょう。