Mk.56 砲射撃指揮装置

Mk.56 砲射撃指揮装置

Mk.56 砲射撃指揮装置（Mark 56 Gun Fire Control System）は、アメリカ海軍によって設計された艦砲用の射撃指揮装置です。このシステムは第二次世界大戦の世代の中でも特に優れた性能を発揮し、艦船の防御力を向上させました。

概要

Mk.56は、高度な技術を駆使しており、機力操縦の方位盤を備えています。この装置は、XバンドレーダーであるMk.35（後にAN/SPG-35に改名）や光学照準器を装備しており、2名の操作員が必要です。光学照準による目標追尾の機能もありますが、基本的には自動追尾が中心となっており、特に盲目射撃（blindfire）の機能はアメリカ海軍の実用機として初めて実現したものです。

運用プロセスには、まずビームを6度の角度で振ることで空間をゆっくりと走査し、目標を捕捉。その後、ビームを0.5度に狭めることで素早い測角・測距が行われ、より正確な目標追尾が可能になります。この目標の速度は、方位盤内部のジャイロスコープおよび距離追尾サーボシステムによって測定されます。また、弾道の計算は艦内のコンピュータMk.42が担当しており、追加の弾道計算筐体を装備すれば、同一目標に対して異なる種類の砲を指向することも可能です。

歴史

Mk.56は1945年8月に初号機が納入され、その後1950年代から本格的に運用が開始されました。戦後もその性能は向上し、亜音速機に対して追尾開始からわずか2秒で射撃を行うことができるようになりました。運用される艦砲は当初38口径5インチ砲でしたが、その後50口径3インチ連装速射砲が標準装備となりました。また、54口径5インチ単装速射砲についてはMk.68が主に使用され、本機も副方位盤として活用されました。

日本での導入と他国の開発

日本においては、海上自衛隊が戦後初の国産護衛艦であるはるかぜ型（28DD）にMk.56の装備を要求しましたが、アメリカからの認可は得られず、実際には第2次防衛力整備計画でのやまぐも型（37DDK）以降に導入されました。

イギリスでは、Mk.56を基にしたMRS-3（Medium Range System）が開発され、903型が1946年から開発を開始し、1958年には就役しました。また、GWS.22 シーキャット個艦防空ミサイル・システム用の904型も開発されました。

さらに、Mk.64 GUNARという射撃指揮レーダーも、当初はMk.63と同じAN/SPG-34、後にAN/SPG-48に変更され、主にカナダ海軍で使用され、後にデジタル化改修を受けてMk.69へと発展しました。

まとめ

Mk.56 砲射撃指揮装置は、艦砲の運用において重要な役割を果たした装置であり、その技術的な進歩は他国でも模倣され、多くの海軍に影響を与えました。特に、自動追尾機能の進化は、近代的な艦船の戦闘能力を向上させる要因となりました。

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