Moi

アルバム『moi』について

斉藤由貴が1994年12月7日にリリースした通算11枚目のオリジナル・アルバム『moi』は、彼女の音楽キャリアの中でも特に注目される作品の一つです。ポニーキャニオンから発売されたこのアルバムは、先行シングル「なぜ」を含む形で、約3年ぶりのオリジナル・アルバムとなりました。タイトルはフランス語で「私」を意味し、個人的な思いやアイデンティティを反映しています。

このアルバムの大きな特徴の一つは、1985年から約10年の時を経て、再び筒美京平から5曲の楽曲提供を受けている点です。筒美京平は日本の音楽シーンにおいて重要な作曲家であり、彼とのコラボレーションはファンにとっても喜ばしいニュースでした。

さらに、本作には全篇英語詞のカバー曲が5曲収録されており、斉藤由貴の歌唱力を最大限に引き出す構成となっています。これにより、彼女の新たな一面を感じさせるとともに、多様性のある楽曲が並ぶことで、リスナーにとって飽きが来ないよう配慮されています。

アルバムに関連する活動も多く行われました。1995年4月21日には、アルバムの楽曲を披露するライブビデオ『Concert '95 ″moi″』が発売され、同年1月10日に開催されたコンサートの模様が収められています。このコンサートは、結婚後初の映像記録でもあり、多くのファンにとって記念すべきイベントとなりました。

その後、2003年9月18日にはCD-BOX『斉藤由貴 CD-BOX 2』が発売され、アルバムの収録曲がリマスタリング音源として収められたことも重要なポイントです。この限定生産のCD-BOXは、現在入手が非常に難しいため、コレクターズアイテムとなっています。

『moi』以降、斉藤由貴は2010年12月までオリジナル・アルバムのリリースを行っていませんでしたが、1999年以降には数枚のシングルを発表しています。音楽活動の再開を印象づけたのは、2007年11月28日にリリースされた「悲しみよこんにちは（21st century ver.）」という再レコーディング作品です。

また、2008年にはフジテレビ系の音楽番組『僕らの音楽』にゲスト出演し、一青窈との共演が話題になりました。さらには、同年3月8・9日には東京・PARCO劇場で数年ぶりのライブを開催し、多くのファンと再会を果たしました。このコンサートでは『moi』から「The April Fools」が披露され、豪華なラインナップの中で新たな魅力を発信しました。

このように、斉藤由貴の『moi』は彼女の音楽的成長と多様性を見せる作品であり、今でも多くのファンに愛され続けている一枚です。音楽シーンにおける彼女の存在感を感じさせる貴重な作品として、過去の楽曲や活動と合わせて振り返ることができる、記念碑的なアルバムと言えるでしょう。

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