Moon (アスキーのゲーム)

moon（ムーン）

『moon』は、1997年にラブデリックが開発し、アスキーから発売されたPlayStation用ゲームソフトです。「リミックスRPGアドベンチャーゲーム」というジャンルが示すように、従来のRPGとは一線を画す、革新的な作品として知られています。

ゲームの特徴

アンチRPG：従来のRPGにおける「勇者」像を覆し、モンスターを虐殺し、村人の家を荒らす存在として描くことで、ゲームのあり方を問い直します。
独特の世界観：粘土細工のようなキャラクター、童話のようなストーリーが、温かくもどこか奇妙な世界観を形成しています。
リミックスされた音楽：ゲーム内に存在する「MD（MoonDisk）」を入手することで、様々なジャンルのBGMを楽しむことができます。既存の楽曲をゲームに組み込むという手法は、当時としては斬新でした。
奥深いストーリー：表面的なストーリーだけでなく、ゲームそのものの存在を否定しかねない、深いメッセージが込められています。このメッセージに気づくことが、真のエンディングへと繋がります。

ゲームシステム

基本システム

時間の概念：ゲーム内には曜日と昼夜の概念があり、住人やアニマルはそれぞれの時間帯に合わせた行動を取ります。
アクションリミット：主人公の行動には制限時間があり、時間切れになるとゲームオーバーになります。レベルアップによって行動可能時間を延ばすことができます。
ソウルキャッチ：勇者に殺されたアニマルの魂を救済することで、「ラブ」を入手できます。
ラブキャッチ：住人の願いを叶えたり、秘密を知ることで「ラブ」を入手できます。「ラブ」は経験値のようなもので、一定値貯まるとレベルアップできます。
MD（MoonDisk）：ゲーム中で入手できる音楽ディスク。BGMを自由に変更できます。

ストーリー

物語は、少年がプレイしているゲーム『FAKE MOON』から始まります。これは、スーパーファミコン時代のRPGを彷彿とさせる、王道的なストーリーです。

しかし、母親にゲームを中断させられた少年が眠りにつくと、テレビの中に吸い込まれ、ゲームの中の世界「REAL MOON」へと迷い込んでしまいます。

そこで少年は、モンスターを殺し続ける勇者の噂を耳にします。勇者が元の世界に戻る鍵を握っていると考えた少年は、勇者を探す旅に出ます。

旅の中で少年は、勇者に殺されたアニマルたちを救済し、住人たちと交流を深めます。そして、『MOON』の世界に隠された真実を知っていくのです。

ストーリー詳細

『FAKE MOON』でドラゴンを倒そうとしていた主人公は、母親にゲームを止められ、眠りにつきます。しかし、テレビの電源が勝手に点き、主人公は『REAL MOON』の世界に吸い込まれてしまいます。

この世界で、主人公は老婆に助けられ、ムーンワールドに存在する「ラブ」を集め、光の扉を開く使命を与えられます。そして、勇者の真実を知り、アニマルたちを救済する旅に出るのです。

城下町の人々との交流や、アニマルたちの救済を通して、主人公はノンビリキング十三世から月の異変を止める計画への協力を依頼されます。科学者のシュタイン・ヘイガー博士を探し出し、月へ向かう探査船のパイロットとして、異変の解決を目指します。

月で月の女王と出会い、勇者との対峙を経て、主人公は現実世界に戻ります。そして、最後の選択によって、物語は異なるエンディングを迎えます。

その他の情報

2019年には、Nintendo Switch用ダウンロードタイトルとして移植版が配信されました。
オリジナル版スタッフ監修の元、楽曲がステレオ音声に対応した以外は、オリジナル版を忠実に再現しています。
2020年には、開発資料などを同梱したパッケージ版『moon PREMIUM EDITION』も発売されました。

『moon』は、単なるゲームとしてだけでなく、メッセージ性の強い作品として、多くの人々に愛されています。未プレイの方は、ぜひ一度体験してみてください。

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