Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス

Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス：ライブ映像作品レビュー

2023年1月25日、日本の国民的ロックバンドMr.Childrenの26作目の映像作品『Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス』が、トイズファクトリーよりBlu-ray DiscとDVDでリリースされました。この作品は、約60万人を動員した、バンド結成30周年を記念した全国ツアーの模様を収めたものです。

本作品は、2022年4月23日から6月19日にかけて開催された、6会場12公演に及ぶドーム・スタジアムツアーから、ツアー最終公演である6月19日の大阪・ヤンマースタジアム長居公演と、バンドのメジャーデビュー記念日である5月10日の東京ドーム公演の模様を完全収録しています。

約3年ぶりの映像作品リリースとなる本作は、ドームとスタジアム両公演がフル尺で収録されている点が大きな特徴です。全12公演ではセットリストが日替わりで変化していましたが、中盤以降は共通の楽曲が多く演奏されました。これらの楽曲選定にも、30周年という節目を迎えたバンドの想いが反映されていると言えるでしょう。

収録楽曲は、初期の名曲から近年の作品まで、幅広くセレクトされています。中には、過去に映像化されていない楽曲や、長らくライブで演奏されていなかった楽曲も含まれ、長年のファンにとっても新鮮な内容となっています。また、ツアーでは日替わりで披露された「Replay」「Dance Dance Dance」「箒星」「Drawing」「PADDLE」「LOVE」は、残念ながら未収録となっています。

さらに、ボーナス・トラックとして、2022年12月30日に公開された映画『Mr.Children「GIFT for you」』のために制作された「君と重ねたモノローグ」のライブ映像が追加収録されています。この楽曲は、ツアー終了後に日産スタジアムで改めて撮影・録音されたもので、ツアーの余韻と、バンドの未来への展望を感じさせる、感動的な仕上がりとなっています。

演出面にも注目です。監督は稲垣哲朗氏、アートディレクターは森本千絵氏が担当し、ライブの臨場感とMr.Childrenの世界観を巧みに融合させた映像美が堪能できます。オープニングムービーでは、ベストアルバムのジャケットをモチーフにした映像が流れ、懐かしい思い出が蘇る演出も施されています。また、炎や花火、銀テープなど、ライブならではの演出も惜しみなく収録され、まるでライブ会場にいるかのような臨場感を実現しています。

音質にもこだわりが見られ、各楽器の音質バランスが絶妙で、桜井和寿氏の繊細な歌声からパワフルな演奏まで、細部までクリアに聴き取ることができます。特に、桜井和寿氏のボーカルは、30年のキャリアの中で培ってきた表現力の深みを感じさせ、楽曲への想いがひしひしと伝わってきます。

パッケージは、三方背ボックスと2デジパック仕様という豪華な仕様となっており、初回購入特典としてステッカーが付属していました。ライナーノーツには、音楽評論家の鹿野淳氏による解説が掲載され、ツアーや楽曲への深い考察が書かれています。

チャート成績も好調で、初週の売上枚数はDVDが3.8万枚、Blu-rayが7.0万枚を記録。オリコン週間チャートでは「オリコン週間DVDランキング」「オリコン週間BDランキング」「オリコン週間ミュージックDVD・BDランキング」の3部門で同時1位を獲得しました。これは、『Mr.Children Stadium Tour 2015 未完』『Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸』以来3度目であり、バンドの圧倒的な人気と、本作の高評価を物語っています。

『Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス』は、単なるライブ映像作品ではありません。30年の歴史を積み重ねてきたMr.Childrenの軌跡、そして未来への展望が凝縮された、まさに「永久保存版」と言える作品です。Mr.Childrenファンはもちろん、日本の音楽史において重要な1ページを刻んだ作品として、多くの音楽ファンに楽しんでほしい作品です。

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