Musium

スキマスイッチの5枚目のオリジナルアルバム『musium』は、2011年にリリースされました。初回生産限定盤と通常盤の2形態で発売され、2018年にはユニバーサルミュージックへの移籍を機に、過去のアルバムと共に再発されています。

アルバムタイトルの『musium』は、「museum（博物館）」と「music（音楽）」を組み合わせた造語です。このタイトルには、「CDライブラリーを持ち合わせたようなアルバム」という制作テーマが込められています。スキマスイッチの二人は、本作について「あまり可愛い曲は含まず、少し哲学的な視点や変わった角度から物事を捉えた歌詞の楽曲を並べたアルバム」を目指したと語っています。

前作『ナユタとフカシギ』が内向きな姿勢で制作されたのに対し、本作は「すごく外側を向いている」と表現されています。制作過程では、軽音楽部のような雰囲気で、その場で音を出しながら自由にアイデアを出し合ったそうです。大橋卓弥は、「今回は不器用に作ったというか、その分音楽を楽しめた感じがあるし、今までの中では一番楽しみながらできた」と語っています。常田真太郎は、制作期間中に2ヶ月のツアーを挟んだことが、ライブ感を生み出し、結果的にバラエティに富んだ楽曲が生まれた要因になったと述べています。

また、二人で話し合いながら制作を進めたことで、「とても人間臭くて、自分たちの人柄が出ているアルバムになった」とも語っています。アルバム制作中に東日本大震災が発生しましたが、その影響について、「あえて直接的に意識するのではなく、いつもと変わらないことを音楽を通して表現したかった」「現地にいた人も、それを見てショックを受けた人も含めて音楽をもう一回聴きたいと思った時に、僕らが「同じ事やってるんだ」ってほっとしてくれたら、それが何より」という想いが込められています。

収録曲は以下の通りです。

1. 時間の止め方
2. アイスクリーム シンドローム (album ver.)
3. 石コロDays
4. LとR
5. ソングライアー
6. センチメンタル ホームタウン
7. さいごのひ (album ver.)
8. Andersen
9. スモーキンレイニーブルー
10. 晴ときどき曇
11. またね。

アルバムには、シングルとしてリリースされた「アイスクリーム シンドローム」「さいごのひ」「晴ときどき曇」のアルバムバージョンが収録されています。これらの楽曲は、シングルバージョンとは異なるミックスやアレンジが施されており、新たな魅力を放っています。

「時間の止め方」は、アルバムの冒頭を飾る楽曲で、常田真太郎が「アルバムを聴き始めると、ふと周りの時間が止まったような気になる。そういう曲を作りたかった」という想いを込めて制作されました。イントロは、常田が何気なく弾いたフレーズを大橋が気に入り、採用されたものです。

「LとR」は、大橋卓弥が楽曲のストーリーの原作を考え、常田真太郎が歌詞に起こすという手法で制作されました。「二人組だからこそ出来る音楽というのを歌詞に落とし込めたら面白い」というアイデアから、「男女でもない、恋愛でもない、応援ソングでもない」歌詞が生まれました。

「ソングライアー」は、大橋卓弥が「全てのソングライターに向けて皮肉ってみた」という楽曲で、「嘘つきのソングライター」という意味が込められています。歌詞の内容について、「自分の事と捉えられてもいいですし、世の中の作家さんと思ってもいい」と語っています。ボーカルは「英語っぽい日本語」を意識してレコーディングされています。

「スモーキンレイニーブルー」は、スポーツマンシップならぬミュージシャンシップに乗っ取って作られたという楽曲で、SUPER BUTTER DOGや山崎まさよし、SPANOVAからの影響を受けています。レコーディングは全ての楽器を一発録りで行われました。「レイニーブルー」という単語を使うにあたり、徳永英明に電話で許可を取ったというエピソードも明かされています。

アルバムのラストを飾る「またね。」は、ギターのフレーズから作られた楽曲で、大橋卓弥は「この曲を聴いた後にもう一回最初からリピートしてほしい」と語っています。常田真太郎は曲順について、「「晴ときどき曇」で、このアルバムはまず一度終わっているんじゃないか。その後「またね。」がボーナストラックとしてついているような感じ」と語っています。

『musium』は、スキマスイッチの音楽的な幅広さと、人間味あふれる魅力を存分に味わえる作品です。

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