NEXT SOUND TRACK

オフコース『NEXT SOUND TRACK』：番組と音楽が一体となった、バンドの集大成

1982年9月21日、オフコースはTV番組『NEXT』のサウンドトラックアルバム『NEXT SOUND TRACK』をリリースしました。このアルバムは、単なる番組音楽集に留まらず、オフコースの音楽性とクリエイティビティを余すことなく示した、記念碑的な作品と言えるでしょう。

メンバー自らが制作した番組『NEXT』との密接な関係

『NEXT SOUND TRACK』最大の特徴は、メンバー自らが脚本、演出、監督、主演を務めたTV番組『NEXT』との密接な関わりです。アルバム収録曲の多くは、番組内で使用された楽曲で構成されており、番組のストーリーと音楽が不可分な関係を築いています。例えば、A面1曲目では、既発曲を繋ぎ合わせたメドレーが、番組におけるメンバーの連行シーンを盛り上げる効果音として使用されました。また、A面3曲目から5曲目、そしてB面3曲目などは、地下室でのリハーサルシーン、武道館ライブの様子といった、番組の重要な場面を彩るオリジナル楽曲やライブ音源として収録されています。

オリジナル楽曲と既発曲のリミックス、そしてライブ音源

アルバムには、番組のために書き下ろされた新曲も収録されています。B面1曲目と2曲目には、番組のテーマを反映した新曲が聴けます。一方、既発曲も、番組の演出に合わせて再編集されたり、ストリングスアレンジされたりと、新たな魅力が加えられています。特に注目すべきは、B面3曲目に収録された1982年6月30日武道館公演のライブ音源と、B面4曲目です。B面4曲目では、『I LOVE YOU』の後半部分に、ライブ終了直後に場内に流れていた曲に合わせて観客が合唱した音源が重ね合わされており、ライブの熱気と一体感を鮮やかに再現しています。また、小田和正のピアノと松尾一彦のハーモニカによるインストゥルメンタル曲(A面6曲目)も番組内で使用され、アルバムに収録されています。

ビートルズ風ジャケットと、東芝EMI在籍時の最後のアルバム

アルバムジャケットはビートルズの『マジカル・ミステリー・ツアー』を彷彿とさせるデザインで、メンバーが動物の着ぐるみを着た姿が印象的です。ただし、小田和正だけは熊の着ぐるみを着ているにも関わらず顔出ししていません。この遊び心のあるジャケットも、アルバムの個性の一つと言えるでしょう。

さらに、『NEXT SOUND TRACK』は、オフコースが1970年のデビュー以来在籍していた東芝EMIでの事実上の最後のアルバムとなりました。この意味でも、バンドの歴史において重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

再リリースと様々なフォーマット

その後、2005年にはデビュー35周年を記念して、オリジナルLP装丁を再現した紙ジャケット仕様で再リリースされ、24ビット・デジタル・リマスタリングも施されました。さらに、2009年にはSHM-CDフォーマットでも発売され、多くのファンに親しまれています。これらの再リリースは、当時の音質を可能な限り再現することに加え、オリジナルのポスターを縮小サイズで復刻するなど、細部にもこだわった点が評価されています。

まとめ

『NEXT SOUND TRACK』は、単なるサウンドトラックにとどまらず、オフコースの音楽性、創造性、そしてバンドとしての結束を余すことなく表現した、極めて重要な作品です。番組と音楽の融合、新旧楽曲の巧みな配置、そしてライブ音源の収録など、多くの魅力が凝縮されたこのアルバムは、オフコースの歴史、ひいては日本の音楽史においても重要な位置を占める作品として、今なお高く評価されています。

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