NHKいわき支局の概要
NHKいわき支局は、
福島県浜通り地方を管轄エリアとする
NHK福島放送局の地域拠点です。長い歴史を持ち、地域における公共放送の役割を担ってきました。
沿革
いわき支局の源流は、第二次世界大戦中の
1941年12月30日に開設された
NHK仙台放送局管轄下の平臨時中継放送所に遡ります。当初は郡山放送局が親局という位置づけでしたが、ラジオ放送では不定期ながら短時間の対談番組などを自主制作し、地域に密着した放送も行っていました。
戦後、新たな放送拠点として
平放送会館が完成し、1963年2月1日には
平放送局へと昇格しました。管轄地域は石城郡、双葉郡、そして現在の南相馬市原町区にあたる原町まで拡大。テレビ・ラジオ放送の大部分は福島放送局からの放送を中継する形でしたが、ラジオ第一放送に限っては、定時ニュース、気象通報、不定期の地域対談番組などを自局で制作・放送していました。
当時の平放送会館は、地上2階建て、延べ床面積1117平方メートルを誇る施設でした。1階には主・副調整室、大小2つのラジオスタジオ、録音室、電源室、機械室(冷暖房設備や自家発電機含む)が配置され、2階には局長室、会議室、技術部、放送部、資料室(レコードや図書)、厚生室(館内食堂)が置かれ、約60名の職員体制で運用されていました。屋上には高さ15メートルの鉄塔が設置され、これは現在も変わっていません。残念ながら、自局でテレビのローカル番組を制作・放送するための設備は備わっておらず、この状況は放送局から支局に移行するまで変わりませんでした。将来的なカラーテレビ放送やFM放送の開始を見据えた会館の増築計画や、マイクロ回線導入によるテレビ中継体制の拡充構想もありましたが、これらの設備投資は実現しませんでした。
放送会館の完成を記念して、1963年2月には様々な特別番組やイベントが行われました。
2月17日:
NHKのど自慢全国コンクール福島県大会が磐城市民会館(現在の小名浜市民会館)で開催され、ラジオ第一放送で県内に中継されました。
2月25日:
「石城散歩」と題し、空撮と地上取材を組み合わせた構成で石城地方の過去・現在・未来を紹介する番組が総合テレビで放送されました。
2月27日:総合テレビのクイズ番組
「それは私です」の公開生放送が磐城高校講堂で行われました。俳優の池部良さんなどが解答者として来場し、郡山市の金透小学校(NHK全国学校音楽コンクール器楽合奏の部全国一)、磐城絵のぼり作者、相馬野馬追の総大将などがクイズの問題として取り上げられました。
1966年10月1日、所在地の平市が周辺13市町村と合併し、広大な
いわき市が誕生しました。これに伴い、局名も
NHKいわき放送局へと改称されました。
しかし、1973年の第一次オイルショック発生は、いわき放送局の体制に影響を与えました。燃料費高騰などの経済状況を背景に、局からアナウンサーがいなくなり、自局での番組制作は全て終了。以降の放送業務は福島放送局が担うことになります。さらに、
1988年7月の機構改革によって、
いわき放送局は福島放送局の支局へと位置づけが変更されました。
放送局時代に使用されていたラジオスタジオや事務室などの空きスペースは、NHKのグループ企業である
NHK文化センターの常設教室として活用されていましたが、放送会館の老朽化が進んだため、この文化センターも2021年3月末をもって閉鎖されました。
組織
現在のいわき支局は、放送部配下の「
いわき報道室」が地域ニュースの取材・編集を担当し、営業部配下の「
いわき営業室」が受信料関連業務などを行っています。このほか、企画総務や技術の担当部署が置かれています。営業業務の一部はかつて郡山支局を経由する形でしたが、2016年7月15日をもって郡山支局での取り扱いが終了し、福島放送局に業務が集約されています。
所在地
福島県いわき市平字小太郎町3-4に位置しています。
中継局
いわき市周辺への放送波は、主に
いわき中継局から送信されています。
デジタルテレビ:総合 16ch、教育 13ch
ラジオ第一:1341kHz 出力1kW(かつてはコールサインJOHQが付与されていましたが、1991年に廃止されました)
ラジオ第二:1539kHz 出力100W(かつてはコールサインJOHZが付与されていましたが、1991年に廃止されました)
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FM放送:86.1MHz(小名浜や勿来の一部地域では、夜間に混信により聞きづらくなる場合があります)
廃止されたアナログ放送:
東日本大震災の影響を受け、アナログテレビ放送は
2012年3月31日をもって全て終了しました。(総合 4ch、教育 10ch)
NHKいわき支局は、開局以来、
浜通り地方における公共放送の拠点として、地域の情報発信やサービス提供を続けています。