NHKの関連団体

NHKの関連団体とは、公共放送を担う日本放送協会（NHK）の事業運営を補完・支援し、多岐にわたる業務を遂行するために設立された、子会社や関連会社、そして公益法人などの総称を指します。

歴史

関連団体の変遷は、1982年の放送法改正を大きな節目としています。この改正により、それまで厳しく制限されていたNHKの営利事業への出資が可能となり、事業体制の強化と多様化が進められることになります。

法改正前

放送法改正以前にも関連団体は存在していました。最初に設立されたのは1931年の日本放送出版協会（現在のNHK出版）です。その後、NHKの内部組織が独立する形で、1961年にはNHK美術センター（現在のNHKアート）、1977年にはNHKプロモートサービス（現在のNHKプロモーション）などが誕生しています。1982年の法改正までに設立されていた主な関連団体としては、公益財団法人NHK交響楽団、社会福祉法人NHK厚生文化事業団、学校法人日本放送協会学園（現NHK学園）といった非営利組織に加え、日本放送出版協会やNHK美術センターなどの営利企業がありました。当時の日本放送出版協会の筆頭株主は、公益財団法人NHKサービスセンターでした。

法改正後

教育テレビの開局など、NHKの業務は拡大を続けましたが、それに伴い赤字体質が常態化し、受信料収入だけでは経営が困難になっていました。この状況を打開するため、放送法を改正して営利事業への出資を認め、番組の著作権を活用した収入増や、民放が行っていた番組制作の外部委託を取り入れることで、自立した経営基盤を確立し、財務体質の改善を目指す動きが活発化しました。1982年に放送法が改正された後、1985年には番組制作を担う子会社としてNHKエンタープライズが設立されます。さらに1989年にNHK会長に就任した島桂氏は、国際的なメディアグループ形成の必要性を唱え、NHKエンタープライズを中心としたグループ体制の強化を推進しました。営利事業への出資が可能になったことで、番組制作においては、事前に民間企業や海外の放送局に著作権の一部を売却する「プリセール」といった手法が導入され、NHK本体の制作費負担を抑える効果が生まれました。

現在

2000年代に入りブロードバンド時代が到来すると、NHKがインターネット事業に積極的に進出することの是非が議論の対象となりました。当時の郵政省（現在の総務省）の放送政策研究会で検討が進められましたが、民間マスメディアからは強い反対意見が出されました。2003年にまとめられた最終報告では、NHKの自律的な取り組みを尊重する方針が示され、最近ではNHKエンタープライズがインターネット向けのコンテンツ制作を手がけるなど、新たな展開も見られます。一方で、2004年に発覚したチーフプロデューサーによる制作費詐取事件をはじめとする一連のNHKの不祥事では、関連団体の運営やガバナンスに対する疑念も生じました。こうした状況の中、2008年3月には、外国人向けテレビ国際放送を担う子会社として、同年4月1日に日本国際放送を設立することが発表されました。

主な関連団体一覧

現在の主な関連団体は、その事業内容によって分類されます。（※斜体表記の団体は、NHK本体からの直接出資がない会社です。）

営利法人（株式会社）

放送番組の企画・製作、販売分野
NHKメディアホールディングス：制作系子会社などを統括する中間持株会社。
NHKエンタープライズ：番組制作、イベント企画、コンテンツ販売などを担う。
NHK Enterprises America, Inc.、NHK Enterprises Europe Ltd.：海外での事業を展開。
オールニッポンヘリコプター：報道ヘリコプター事業の一部に出資。
NHKプロモーション：広報・宣伝、イベント企画などを担う。
NHKアート：美術、セット制作、映像技術などを担う。
NHK出版：書籍、テキスト、楽譜などの出版・販売。
日本国際放送：国際放送「NHKワールド JAPAN」の番組制作・送出を担う。
業務支援分野
NHKビジネスクリエイト：総務、経理、人事関連業務の支援。
NHKテクノロジーズ：放送技術の研究・開発、システム構築、運用支援。
NHK文化センター：生涯学習事業（カルチャー教室）の企画・運営。
NHK営業サービス：受信料契約・収納業務の支援。
日本ブロードキャストネットワーク：放送技術に関する業務。

非営利法人

公益サービス分野
一般財団法人 NHK財団：複数の公益法人を統合し、放送文化振興や社会福祉事業などを行う。
公益財団法人NHK交響楽団：プロオーケストラとして演奏活動を行う。
学校法人NHK学園：通信制高等学校などを運営する生涯学習機関。
社会福祉法人NHK厚生文化事業団：高齢者・障害者支援、地域福祉などの社会福祉事業を行う。
福利厚生団体
日本放送協会健康保険組合：職員の健康保険事業を行う。
一般財団法人日本放送協会共済会：職員の福利厚生事業を行う。

解散した会社

再編の過程で解散した団体も存在します。例えば、NHK名古屋ビルシステムズは2009年6月30日に解散しました。

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