NHKアニメ劇場

NHKアニメ劇場：家族を繋ぐアニメの2年間

2004年4月から2006年12月まで、NHK総合テレビで放送されたアニメ番組枠『NHKアニメ劇場』。『モンタナ・ジョーンズ』以来9年ぶりの新たなアニメ枠として、幅広い年齢層が楽しめる作品群が選定されました。

アニメ強化策と番組枠の誕生

『NHKアニメ劇場』設立の背景には、政府のアニメ支援策を受けてNHKが推進したアニメ番組強化策がありました。2004年には、NHK放送総局内にアニメ番組専門部署「アニメーション室」が設置され、大河ドラマ制作などを手掛けた浅野加寿子が初代室長に就任。制作体制においても、従来のNHKエンタープライズや総合ビジョン中心から、NHK本体が主導的な役割を担う体制へと変化しました。

この新しい体制下で制作された代表作に『アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル』があります。有名俳優を声優に起用するなど、従来のNHKアニメとは異なるアプローチも試みられました。しかし、後続の作品では有名俳優起用は見られなくなり、最終作『少女チャングムの夢』までその傾向は続きました。

放送時間と番組構成

当初は毎週日曜19時30分から19時55分、放送開始から2006年3月まではこの時間帯で放送されました。この時間帯は以前は40分枠でしたが、『NHKニュース7』拡大に伴い短縮されました。初期の作品では、アニメ本編後に作品解説などを加えた3分間のミニ番組が放送されることもありました。しかし、後続作品では他の番組が挿入され、作品との関連性は薄れました。

2006年4月からは、土曜19時30分 - 19時55分に放送枠が移動。この時間帯にアニメを放送するのは『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険』(1979年～1980年放送)以来、実に26年ぶりでした。しかし、この時間帯では『少女チャングムの夢』1作品のみの放送となり、同年12月をもって『NHKアニメ劇場』は終了しました。

代表的な作品

『NHKアニメ劇場』では、様々なジャンルの作品が放送されました。

火の鳥：手塚治虫原作の壮大な物語。
アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル：推理小説の名作をアニメ化。
雪の女王：アンデルセン童話を原作とした作品。
ジミー・ニュートロン 僕は天才発明家!：アメリカの人気アニメ。
* 少女チャングムの夢：韓国ドラマ『チャングムの誓い』を原作とした作品。

これらの作品を通して、子供から大人まで幅広い視聴者層を獲得しました。

枠の終了とその後

『NHKアニメ劇場』は『少女チャングムの夢』の終了とともに幕を閉じました。その後、NHK総合テレビでのアニメ枠は一時消滅しましたが、2007年4月に『彩雲国物語』の放送開始により復活。その後、放送時間や曜日が変更されながら、現在に至っています。

『NHKアニメ劇場』は、短期間ながらも、NHKにおけるアニメ番組制作の転換期を示す重要な番組枠でした。家族向けの良質なアニメ作品を提供したことは、高く評価できるでしょう。また、この番組枠は、NHKのアニメーションに対する取り組みの変遷を理解する上で重要な一端を担っていると言えます。

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