NHLドラフト

NHLエントリードラフト

NHLドラフト、正式名称をNHLエントリードラフトといいます。これは、北米最高峰のプロアイスホッケーリーグであるナショナルホッケーリーグ（NHL）が主催し、世界中から才能ある若手選手をリーグに迎え入れるための重要な会議です。

概要

例年、NHLドラフトは2日間にわたって開催されます。このイベントの大きな特徴の一つは、単なる会議に留まらず、一種のエンターテイメントとしてショーアップされている点です。実際の公式戦が行われるリンクを会場とし、多くの観客が集まる中で実施されます。特に1巡目の指名はテレビで生中継されるなど、注目度の高いイベントとなっています。

ドラフトの指名順は、基本的に前シーズンの成績に基づいたウェーバー方式で進行しますが、北米プロバスケットボールリーグ（NBA）と同様にロッタリー（抽選）システムが導入されており、下位チームが上位の指名権を獲得する可能性があります。これにより、成績不振チームの立て直しを促進する狙いがあります。一度のドラフト会議で指名される選手の数は非常に多く、およそ300名近くの新人がNHLへの扉を開くチャンスを掴みます。

ドラフトの対象となる選手の年齢には規定があり、当初は17歳以上でしたが、1980年以降は18歳以上が原則となりました。ただし、北米でプレーする選手については、年齢の上限が20歳までと定められています。

歴史

NHLドラフトの歴史は、1963年6月5日にモントリオールのクイーンエリザベスホテルで開催された第1回NHLアマチュアドラフトに始まります。記念すべき最初の全体1位指名選手は、モントリオール・カナディアンズが選択したゲーリー・モナハンでした。彼は後に日本の西武鉄道アイスホッケー部でもプレーした経験を持っています。

歴史の中にはユニークな出来事もあり、1974年にはバッファロー・セイバーズが実在しない日本人選手、ツジモト・タロウを11巡目に指名したというエピソードが残っています。

1979年には、ドラフトの名称が「アマチュア」から「エントリー」へと変更されました。この変更は、当時消滅した別のプロリーグであるWHA（ワールドホッケーアソシエーション）に所属していた選手たちをNHLに受け入れるための対応でした。

日本人選手としては、1992年に三浦浩幸氏が日本人で初めてNHLドラフトで指名されました。彼は全体260位でモントリオール・カナディアンズから指名を受けています。続いて2004年には、福藤豊氏が日本人として2人目に指名され、ロサンゼルス・キングスから全体238位で選ばれました。

特記事項

特定の年に、開催場所や形式が変更される例もありました。例えば、2005年のドラフトは、リーグの労使交渉（CBA交渉）に起因するロックアウトの影響でスケジュールの衝突が発生し、当初予定されていた会場から変更されています。

また、2020年および2021年のドラフトは、COVID-19パンデミックの影響により、対面での開催が困難となったため、カンファレンスコール（オンライン形式）で実施されました。

さらに、リーグの規則違反に対する罰則として、特定のチームが指名権を剥奪されることもあります。例えば、アリゾナ・コヨーテズは2019-20シーズン中のNHLコンバインテスト規定違反により、2020年の2巡目指名権と2021年の1巡目指名権を剥奪されるという事例がありました。

もう一度検索