NOBODY (映画)

NOBODY：スタイリッシュなガンアクションと社会への不安を描いたサスペンススリラー

1994年公開の映画『NOBODY』は、Vシネマでキャリアを積んだ大川俊道監督の劇場映画デビュー作です。主演は加藤雅也。本作は、第4回日本映画プロフェッショナル大賞ベストテンで第2位にランクインするなど、高い評価を得ています。

ストーリー：エリートサラリーマンたちの、ルールなき死のゲーム

物語は、大手広告代理店で働く3人のエリートサラリーマン、タキ、南部、小西の結婚式帰りから始まります。3人はショットバーで飲んでいる最中、ジッポ、マルボロ、ロレックスと名乗る3人組とトラブルに巻き込まれます。小西はリンチを受け、後日、偶然ロレックスを見つけたタキたちは報復として彼をリンチします。ロレックスは死亡します。

この事件をきっかけに、タキは罪悪感に苛まれます。ある日、ジッポから電話がかかってきます。「お礼をさせてもらう」という、処刑宣告のような言葉と共に。そして、タキの仲間たちは次々と消されていきます。タキに事件の真相を伝えようとした唐木刑事までもが殺害され、タキは絶体絶命の状況に追い込まれていきます。

大川俊道監督の演出：日本の治安への潜在的な不安

大川俊道監督は、本作で自身の持ち味であるガンアクションを存分に見せつけるとともに、一見平和で安全に見える日本の社会の裏側にある、潜在的な不安と恐怖を見事に描き出しています。監督のこだわりが詰まった、緊迫感あふれるサスペンススリラーに仕上がっています。

キャスト：実力派俳優たちが織りなす緊迫感

本作には、加藤雅也をはじめ、竹内力、中野英雄、遠藤憲一、四方堂亘、小沢和義といった実力派俳優たちが名を連ねています。それぞれのキャラクターが持つ複雑な感情や、事件に巻き込まれていく様が見事に表現されています。脇を固める俳優陣も、それぞれに存在感を放ち、物語に深みを与えています。

エピソード：公開後修正、海外公開など

公開直後に一部シーンの撮り直しが行われたことや、1998年にはアメリカでも小規模ながら公開されたことなど、興味深いエピソードも残されています。日本未発売ですが、北欧ではDVDが発売されているという情報もあります。

作品情報：スタッフ、主題歌など

スタッフには、撮影：緒方博、照明：居山義雄、音楽：京田誠一など、映画界を支えるベテランたちが名を連ねています。主題歌は寺田恵子による「天国の出口」。様々な才能が集結したことで、より一層質の高い作品へと昇華されています。

まとめ：日本の裏社会と人間の闇を描いた傑作

『NOBODY』は、スタイリッシュなガンアクションと、日本の社会構造に潜む闇をリアルに描いたサスペンススリラーです。予測不能な展開と、個性豊かなキャラクター、そして緊迫感あふれる演出は、観る者を最後まで引き込みます。日本の社会派サスペンス映画史に残る一作と言えるでしょう。

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