NSP (バンド)

NSP（エヌエスピー）について

NSP（エヌエスピー）は、1972年に岩手県で結成されたフォーク・グループです。メンバーは、天野滋、平賀和人、中村貴之の3人で、いずれも岩手県にある一関工業高等専門学校の同級生でした。高専在学中にこのバンドは結成され、当初はニュー・サディスティック・ピンクという名で活動を始めましたが、ロック中心のスタイルとフォーク調の音楽性のギャップから、メジャーデビューの際にNSPという略称に改名しました。

経歴と活動

アマチュア時代には、学校の文化祭でのライブパフォーマンスやオーディオマニアからのデモテープでの推薦がきっかけとなり、1973年には第5回ヤマハポピュラーソングコンテストに参加し、「あせ」でニッポン放送賞を受賞。翌1974年に「さようなら」でメジャーデビューを果たしました。その後、同年のシングル「夕暮れ時はさびしそう」がオリコンチャートで11位にランクインするなど、瞬く間に人気を博しました。

NSPは1970年代を通じて多数のヒット曲を生み出し、特に1976年に発表された「赤い糸の伝説」は叙情派フォークの代表作として知られています。音楽性はしばしば「さびしさ」や「郷愁」をテーマにしたもので、多くのファンの心に深く刻まれました。

ソロ活動と再結成

1980年代に入ると、メンバー各自のソロ活動が増え、1985年に中村が脱退します。その後は新メンバーを迎えて活動を続けましたが、1987年に平賀の脱退を機にバンドは一時活動を停止し、それぞれがソロでのキャリアを築いていきました。天野はニューミュージックのシーンでソロアーティストとして成功し、平賀はレコード会社のディレクターとして多様なアーティストを手がけるようになりました。

2002年にはオリジナルメンバーでの再結成が実現し、全国ツアーやコンサートを行い、ファンから再び注目を浴びました。しかし、2005年にはリーダーの天野が脳内出血により他界。この悲劇はバンドに大きな影響を与えました。

その後も残されたメンバーは音楽活動を続け、2019年には震災復興のシンボルとして「夕暮れ時はさびしそう」が東北新幹線の発車メロディーに採用されるなど、NSPの曲は時を超えて愛されています。2021年には中村が肺がんで他界し、メンバーの喪失は続きましたが、その音楽の遺産は多くのファンに親しまれています。

記念碑と表彰

また、2019年には「夕暮れ時はさびしそう」の舞台である磐井川堤防に「N.S.Pメモリアルスポット」が設置されるなど、バンドの影響力は地域文化にも根づいています。そして、2022年には一関市から教育文化功労として表彰を受け、地域における貢献が認められました。

NSPの音楽は、今もなお多くの人々に感動を与え続ける存在であり、彼らの楽曲は日本のフォーク音楽の重要な一部として位置づけられています。

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