NTM (ヒップホップ)

NTM（シュプレームNTM）



NTM、正式にはシュプレームNTMは、1989年にフランスのパリ郊外、セーヌ＝サン＝ドニ県で誕生したヒップホップバンドです。このグループは、ジョーイ・スター（本名：ディディエ・モルビル）とクール・シェン（本名：ブルーノ・ロペス）の二人によって構成されています。彼らは、フランスのヒップホップを牽引する存在として多くのファンに支持され、解散までに6枚のアルバムをリリースしました。

特に1998年に発表されたアルバム『Suprême NTM』は80万枚を超える売上を記録し、商業的に大成功を収めました。このアルバムは、フランスのヒップホップにおける重要な作品とされ、90年代前半のフランスの音楽シーンにおいて大きな影響を与えました。解散後は、二人とも独自のレーベルを立ち上げ、ソロ活動に専念し、新しいアーティストのプロモーションやファッションブランドの立ち上げなど、多様な事業を展開しています。

NTMという名前は、フランス語のスラング「Nique Ta Mère」に由来し、非常に強い態度を示す表現です。このグループは、政治的な問題に対する厳しい批判や攻撃的な歌詞で知られています。音楽スタイルはハードコアヒップホップを基盤にしていましたが、特に後期の作品にはファンク、ソウル、レゲエなどの要素も取り入れられています。

初期の作品では暴力的なテーマが目立ちましたが、後半には「Pose ton Gun」（銃を捨てろ）など非暴力を訴える楽曲も現れ、進化を遂げます。ラップスタイルにおいては、ジョーイ・スターは重厚な低音のフローと攻撃的な内容で知られ、一方クール・シェンはファンキーで巧妙な表現を用いるスタイルを持っており、感情的な歌詞が印象的です。

NTMは当局との衝突でも知られています。特に、1993年にリリースされた楽曲「1993... J'appuie sur la Gâchette」や「La Police」では、警察への攻撃的な内容が含まれており、これが法的トラブルを引き起こしました。彼らの歌は多くのラジオ局にボイコットされることになりました。

また、1995年にはライブパフォーマンス中に警察を攻撃した内容で懲役判決を受け、当時のイメージを悪化させました。しかし、これに屈することなく彼らは音楽活動を続けました。

主なアルバム



セーヌ＝サン＝ドニ県という地域には、彼らを含む多くのアーティストが居住し、フランスの音楽に多大な影響を与えています。NTMは今なお多くのファンに支持され、フランスのヒップホップの歴史において不可欠な存在であり続けるでしょう。

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