Navy SEALsの選抜訓練

Navy SEALs選抜訓練：過酷な道のりからの精鋭部隊

アメリカ海軍特殊部隊Navy SEALs。その隊員になるには、並々ならぬ努力と忍耐が必要とされます。本稿では、選抜から実戦配備までの過酷な訓練課程を詳細に解説します。

選抜：厳しい基準をクリアせよ

SEALsへの道は、18～29歳のアメリカ合衆国籍男性に開かれています（例外的に17歳や30歳の場合も）。志願者は、高い身体能力、学力、そして強い精神力が必要です。具体的な要件としては、ASVABテスト220点以上、矯正視力1.0以上、そしてSEAL体力審査テスト（PST）の合格が求められます。PSTでは、水泳、腕立て伏せ、腹筋運動、懸垂、長距離走など、厳しい体力テストが課せられます。さらに、薬物乱用の前歴がなく、「良心を持った性格」であることも重要な選考基準となっています。

2015年8月、アメリカ海軍は条件付きで女性隊員の受け入れを開始しました。これは、オバマ大統領と国防総省の決定に基づくものでした。

海軍特殊戦準備学校：最初の試練

イリノイ州グレート・レイクス海軍基地での8週間の訓練では、志願者は「クラッシュ・コース」と呼ばれる集中的な体力強化訓練を受けます。PSTよりもさらに厳しい体力テストが繰り返し行われ、不合格者は除外されます。

基礎水中爆破訓練（BUD/S）：心身への挑戦

BUD/S（Basic Underwater Demolition/SEAL）は、24週間におよぶ過酷な訓練です。3週間のオリエンテーション（INDOC）の後、体力調整、潜水訓練、地上戦訓練の3つの段階に分けられ、士官と兵士は同じ課程を経験します。

オリエンテーション（INDOC）：BUD/Sへの準備

カリフォルニア州コロナドの海軍特殊戦センターで行われる3週間の訓練で、BUD/S特有の訓練に適応していきます。

第1段階：体力調整（7週間）

ランニング、水泳、柔軟運動などの体力強化に加え、チームワークや精神力の鍛錬が行われます。特に「地獄週間（ヘル・ウィーク）」と呼ばれる5日半の過酷な訓練は、多くの志願者を脱落に追い込みます。睡眠時間は4時間程度、長距離走、長時間トレーニングが繰り返されます。

第2段階：戦闘潜水（7週間）

戦闘水泳能力を高める訓練です。開放回路型と閉鎖回路型のSCUBA潜水、潜水医学、そして「溺死防止訓練」など、水にまつわる様々な訓練が行われます。水中での長距離移動能力を養うことが目的です。

第3段階：地上戦（7週間）

基本的な武器、建物の破壊、ランドナビゲーション、射撃術、小規模部隊戦術などを学びます。サン・クレメンテ島での野外訓練は、特に過酷な環境下での実践訓練となります。

空挺降下訓練（3週間）

BUD/Sを卒業した訓練生は、サンディエゴで3週間の空挺降下訓練を受けます。スタティックライン降下やフリーフォール降下など、戦術航空作戦に必要なスキルを習得します。

SEAL資格訓練（SQT）：戦術レベルへの昇華

26週間のSQTでは、武器訓練、CQC、小規模部隊戦術、ランドナビゲーション、建造物の破壊、寒冷地訓練、医療技術、海洋作戦など、高度な戦術スキルを習得します。卒業時には、生存、回避、抵抗、逃亡訓練（SERE）も経験します。

SEAL部隊訓練（TRP）：実践への準備

SQT修了後は、SEALチームへの配属が決まり、TRP（部隊訓練）が始まります。12～18ヶ月のワークアップは、高度特別訓練、部隊レベル訓練、任務群レベル訓練の3段階から構成されます。各段階では、狙撃、近接戦闘、秘密潜入、潜水技術、航空作戦、建造物の破壊、警護、無人航空機操作、通訳など、様々な専門スキルを習得します。最終的な訓練であるCERTEX（最終証明演習）を経て、SEALチームは実戦配備されます。

終わりに

Navy SEALsの選抜訓練は、並外れた体力、精神力、そして高度な技術を要求する過酷な道のりです。しかし、その厳しい訓練を乗り越えた者だけが、世界最高峰の特殊部隊の一員として活躍できるのです。この過程は、個人の能力を試すだけでなく、チームワークの重要性も痛感させるものとなっています。

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